
フォルクスワーゲン(VW)グループは17日、今月23日に開幕する上海モーターショーで次世代のインテリジェント電気自動車(EV)向けに新たなAI搭載ADASシステムを公開する、と発表した。グループ子会社のソフトウェア会社「CARIAD(カリアド)」と中国のIT企業との合弁会社が開発したもので、年内をメドにVWブランド車に搭載し中国市場に投入する。同社では2026年からコンパクトクラスの次世代モデルに採用することで、中国市場での自動運転利用に対応していきたい考えだ。
2026年にも次世代コンパクトモデルに搭載
VWグループが公開するAI搭載の高度自動運転システムは中国での現地開発。中国ならではの交通環境向けに特別に開発され、自己学習機能を備えスムーズで極めて安全な運転体験を実現するという。今年末までに、この技術を搭載したフォルクスワーゲンブランドモデルを中国で発表し、来年からは中国専用コンパクトメインプラットフォーム(CMP)をベースにしたモデルにも統合する。
同社では、中国市場で新規登録される車両の4分の1が高速道路でのレベル2運転支援システムを搭載していることから、2030年までには8割以上の車がレベル2+を採用すると見込んでいる。なかでも、高速道路と都市交通の両シナリオをカバーするレベル2++は、新車の75%に搭載される見通しという。
このため、2023年11月にカルデアと中国IT企業「Horizon Robotics(ホライズン・ロボティクス)」との合弁会社「CARIZON(カリゾン)」を設立し、新たなADASシステム開発に取り組んでいる。VWグループ中国担当取締役でもあるラルフ・ブランドシュタッターVWグループ中国CEOは「当社の新たなADASシステムは、フォルクスワーゲンの強みと現地のイノベーションを組み合わせることで何が可能かを示している」と話す。
「GAIA」と呼ぶカリゾンが開発したAI搭載データプラットフォームが、従来と比べてデータ分析速度が6倍となし、AI分析の検証時間を20分の1に短縮したという。カリゾンのマーカス・ハフケマイヤーCEOは、「500人の現地ADAS専門家チームと開発プロセスへのAIの継続的な統合により、私たちは非常に短期間で高度なADASシステムを構築した。今年、Level 2+のADASを導入し、一般道での自動運転を可能とするLevel 2++ADASを2026年に発売する予定だ」と述べ、レベル3に向けた取り組みを加速させる意向だ。(2025年4月17日)