• 2026-10-12

VWグループ、パリで欧州産業の競争力強化訴え 小型EV共同開発とAI活用を推進

パリの「For Europe」イベントに登壇したVWグループのオリバー・ブルーメCEO
「For Europe」イベントでのブルーメCEO(写真:VWグループ)

独フォルクスワーゲン(VW)グループは、パリモーターショーの開幕を翌日に控えた11日、パリで「For Europe」と題したイベントを開催した。欧州の産業基盤と技術力を生かし、ブランドを横断した共同開発や人工知能(AI)の活用で競争力を高める方針を提示。企業による構造改革と、政策当局による電動化や公正な競争を支える制度整備の必要性を訴えた。

会場となったパレ・ド・トーキョーでは、欧州で開発・生産する小型電気自動車(EV)群「エレクトリック・アーバン・カー・ファミリー(EUCF)」を披露した。VW「ID.ポロ」「ID.クロス」、シュコダ「エピック」、クプラ「ラバル」の4車種が初めて同じ舞台にそろった。同社によると、4車種の合計受注はイベント開催時点で約15万台に達したという。

オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、欧州には幅広い産業基盤、高い革新力、優れた人材があると指摘。これらの強みを結び付け、技術をより速く市場に投入することで、欧州域内の成長や雇用につなげる考えを示した。企業は競争力を高めて魅力ある製品を提供し、政策当局はそれを支える制度を整えるという、双方の役割を強調した。イベントにはフランスのセバスティアン・マルタン産業担当相も登壇し、「メード・イン・ヨーロッパ」をテーマに基調講演した後、ブルーメ氏と意見を交わした。

VWグループは、製品や業務、組織の複雑さを減らし、意思決定を迅速化する構造改革を進める。投資は、顧客と企業に高い価値をもたらす技術や事業分野に重点配分する方針だ。開発では、車台や基本設計、モジュールのグループ内での共通利用を拡大する。共同開発によって重複作業を減らすとともに、ハードウエアとソフトウエアの開発にAIを活用し、開発期間の短縮と新技術の早期投入を図る意向だ。一方、デザインやブランドの個性、市場での位置付けは差別化する。

アルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)兼最高執行責任者(COO)は、グループの規模やブランド構成、技術基盤をより有効に活用し、投資の重点化と規律を徹底する方針を説明。足元の収益力を高めながら、将来の技術革新に必要な投資能力を確保するとした。

EUCFは、こうした共同開発の具体例となる。4車種は部品・技術の8割超を共有し、スペインのマルトレルとパンプローナで生産する。技術基盤の共通化によって規模の効果を得ながら、各ブランドのデザインや商品特性を生かし、異なる顧客層に対応する。VWブランドCEOで、量販ブランド部門「ブランド・グループ・コア」を率いるトーマス・シェーファー氏は、欧州で開発・生産した魅力ある車を幅広い顧客に届ける取り組みとしてEUCFを紹介。競争力の向上と欧州の産業基盤の強化、EVの普及を両立させる考えを示した。

VWグループは政策面で、欧州域内での実質的な価値創出を評価し、EVの普及拡大と公正な国際競争を支える規制の枠組みを求めている。欧州の生産網への投資と共通技術の活用を進める一方、政策当局には、安定的で技術革新と競争力の向上を促す事業環境の整備を働きかける。

(2026年10月11日)