メルセデス・ベンツは20日、独シュトゥットガルトで「第17回メルセデス・ベンツ・サスティナビリティ・ダイアログ」を開き、持続可能な事業活動にとって、脱炭素化や人権など重点的な6つの分野を掲げ取り組むと提示した。
脱炭素化や人権、交通安全など
同社は同会議に参加した市民や政界、学会、産業界の関係者と議論し、表明した。メルセデス・ベンツ・グループAGの経営委員会メンバーであるレナータ・ユンゴ・ブルングラー氏は、「私たちは、自分たちの行動で最大限の影響を与えたいと考えている。6つの重点分野において、私たちは真の変化をもたらすことができ、これらの分野が環境と社会、コーポレートガバナンスに関するトピックをカバーし、将来においても最終的には社会全体にとって非常に重要なものだ」と指摘し、「私たちの目標は、事業運営に持続可能性をさらにしっかりと根付かせることであり、これが私たちが持続的な改善を達成できる唯一の方法だ」と指摘した。
6つの持続可能性の重点分野として、「脱炭素化」と「資源利用と循環性」、「従業員」、「人権」、「デジタル・トラスト」、「交通安全」というテーマを設定した。これら重点分野は、社内外のステークホルダーによる分析を経て、そのワークショップや欧州委員会のCSR指令、欧州サステナビリティ報告基準に沿って策定した。同社は今後、各項目ごとに具体的な目標を設定し、全社的なスコアカードに持続可能性の指標を盛り込む。定期的にシステムを見直しながら、主要指標を年次持続可能性報告書の一部として示す方針だ。
メルセデス・ベンツの6つの持続可能性の重点分野
脱炭素化では、同社の中核戦略「Ambition 2039」として、2039年までにバリューチェーンのすべての段階とライフサイクル全体を通じて、新車全車両をCO₂ニュートラルにすることをめざしている。このため、車両の電動化を推進するほか、リサイクル素材の利用や生産工程における再生可能エネルギーの導入、車両充電のための再生可能エネルギー源の活用などを掲げている。
資源の利用と循環性では、資源の効率的な利用と物質循環に重点を置き、 同時に各拠点での廃棄物、消費エネルギー、使用資源の量を大幅な削減を求めた。クーペンハイムに新設したバッテリーリサイクル工場で、96%の材料を回収しており、リチウムやニッケル、コバルトなどの貴重な原材料を回収し、将来の電気自動車用の新しいバッテリーに使用する。
メルセデス・ベンツの人々としては、持続可能な人事戦略「サステイナブル・ピープル・プラン」を軸に展開しており、2022年から2030年にかけて従業員研修に20億ユーロ以上を投資する計画だ。
人権は、同社にとって最も重要な課題と位置づけ、バリューチェーン全体を通じて人権を保護し、人々や環境への悪影響を防止、最小化、または可能な限り排除することをめざす。ブラジルのアマゾン地域におけるアルミニウムのサプライチェーンに沿った「コリドー・イニシアティブ」などのプロジェクトにも投資し、パートナー企業であるハイドロ社と共同で多面的なプロジェクトを実施し、現地の人権を強化し、生物多様性を向上させる目的だ。
デジタル・トラストでは、取り組むデジタル変革の課題に合わせて、デジタルイノベーションの責任ある利用を強化するものだ。デジタルにおける信頼が、持続可能で競争力のあるデジタルビジネスを支える基盤になるとし、自動車メーカーとして初めて、人工知能の責任ある利用に関する原則を定義したという。
交通安全はこれからも同社の基軸となる目標だ。2022年に比べ、2030年までに交通事故による死亡者数を半減し、2050年までに完全になくすというEUのビジョンゼロを支持。運転支援システムや自動運転技術により道路交通の安全性を高め、ビジョンゼロの達成に大きく貢献することができるという。すでに、ドイツでは高速道路の右車線を時速95kmで先行車を追従できる次世代のDRIVE PILOTを発表し、2024年末までにドイツ連邦自動車交通局の認証を取得し、2025年初頭から利用可能になる予定という。(2024年11月20日)