
アウディは4日、使用済み車両から回収した鉄などのリサイクル鋼を再び新車に再利用する取り組みを本格化する。数千台の試作車を実用化の材料に使う。同社は2023年から「マテリアルループ・プログラム」と呼ぶ循環型経済を具現化する取り組みをリサイクル関連企業など研究してきた。従来は新車用に向かないとされていたリサイクル鋼再利用の実用化にメドをつけたことで、温室効果ガス排出量の削減や調達リスクの軽減につながる。リサイクル鋼を新車に再利用するのは同社が初めてとなる。
「マテリアルループ・プロジェクト」を試作車で実用化に
アウディ2023年から、マテリアルループ・プログラムとして、使用済み車両で発生する素材の再利用を研究している。フラウンホーファー研究所のほか欧州のリサイクル関連企業と協力し取り組んでいる。なかでも、従来はその品質性能からリサイクルした鉄鋼は建築資材などに再利用されるにとどまり、新車用には使われないでいた。
今回、協力会社であるTSRリソース社によって回収した鉄鋼が破砕され、再利用可能な高品質なリサイクル原料への加工にメドをつけた。これにより、今年からは同プログラムを実用化に進め、数千台の試作車をリサイクル用に提供し、本格化する。同社では、「これらの車両から得られた二次材料を利用できるようになり、いわゆるデジタル材料アカウントにクレジットが加算される」とし、温室効果ガス排出量削減の一助としたい考えだ。また、価格変動が激しい素材調達のなかで高品質なリサイクル鋼鉄原料を優先的に利用できる道筋を整えたとしている。(2025年4月4日)