• 2026-03-24

欧州自動車部品工業会(CLEPA)が発表した2026年春の調査によると、域内サプライヤーの約4社に1社が2026年に赤字を見込んでいることが分かった。収益性の低下が深刻化するなか、防衛など非自動車分野への一時的な多角化でしのぐ動きが広がっており、産業基盤の持続性に懸念が強まっている。

調査によれば、サプライヤーの76%が2026年の営業利益率について5%未満を予想した。これは研究開発や設備投資を維持するための最低水準を下回る水準で、2025年秋時点の70%からさらに悪化した。加えて、マイナス利益(▲1%未満)を見込む企業は24%に達し、前回の15%から大幅に増加。業界全体で収益圧迫が急速に進んでいる実態が浮き彫りとなった。

こうした状況を受け、サプライヤーは事業構造の見直しを加速している。73%の企業が製品ポートフォリオを再編し、低採算の汎用部品からの撤退や、電動化・ソフトウエア関連など成長分野への集中を進める。また、40%の企業が防衛や産業機器など非自動車分野への展開を拡大している。センサーやパワーエレクトロニクスといった既存技術を他産業に転用する動きが広がる。

CLEPAのベンジャミン・クリーガー事務総長は「欧州サプライヤーは即応的な対応を迫られる収益危機に直面している」と指摘し、多角化はあくまで「雇用と産業基盤を守るための一時的措置」との認識を示した。

もっとも、こうした多角化は根本的な解決策ではない。CLEPAは、産業競争力を維持するため、技術中立性を確保したCO₂規制や、欧州域内生産を支える「産業加速器法」の早期実施を求めている。加えて、不公正競争を防ぐため、貿易相手に対する厳格なリスク評価と執行強化の必要性も訴えた。

電動化と規制強化、コスト上昇が重なるなか、欧州自動車サプライヤーは構造的な転換点に立たされている。足元では多角化による“時間稼ぎ”が進むが、競争力回復には政策と産業戦略の両面で抜本的な対応が不可欠となる。(2026年3月23日)