ホンダと日産自動車、そして三菱自動車の経営統合に向けた基本合意の発表は、海外でも高い関心をみせている。USAトゥデイはトランプ次期大統領の誕生で「合併が困難になる可能性もある」と指摘。ニューヨークタイムズは現地レポートとして解説記事を掲載し、英フィナンシャルタイムスも証券アナリストの見方を引用し紹介した。
日本時間の23日午後5時、ホンダと日産、三菱自の社長が揃い記者会見し、経営統合に向けての協議を始めると発表。ルノー・グループは同日、日産とホンダの経営統合に向けた基本合意締結発表に合わせて、「日産の主要株主として、ルノー・グループとそのステークホルダーの最善の利益に基づき、あらゆる選択肢を検討していく。ルノーグループは引き続き戦略を実行し、アライアンス内で既に開始したプロジェクトを含め、グループにとって価値を生み出すプロジェクトを展開していく」と反応、両社の統合検討を是とも非とも示さず事実関係を認めるにとどめた。
タイ「自動車産業を利する可能性」と前向き評価
タイ工業連盟のスラポン副会長は現地メディアに対し、「正確な影響を推測するには時期尚早だ」としながらも、「タイの自動車産業を利する可能性が高い」と述べた。
USAトゥデイ「トランプ政権による合併の精査はハードルに」
USAトゥデイはこれまでの3者の関係を振り返りながら、今回の経営統合でホンダの主力工場が立地するオハイオ州の反応をレポートした。現地担当者の「今回の発表が現地の事業に直ちに影響を与えることはない」との声明を紹介。さらに、ドナルド・トランプ次期大統領の誕生で「合併が困難になる可能性がある」と指摘した。「EVに優しい政策の後退の可能性と、トランプ政権による合併の精査は、両社にとってハードルとなる可能性がある。次期大統領は、カナダとメキシコから出荷される自動車に25%の関税をかけるなど、輸入車に対して強硬路線を取ることを宣言した。両社は現在メキシコに工場を持ち、ホンダはカナダに工場を持っている。自動車業界関係者によると、トランプ大統領はホンダと日産に譲歩を求め、何らかの取引を承認する可能性がある」という。
NYタイムス「日産にとっての生命線」
ニューヨークタイムズはみずほ銀行の湯進主任研究員の「日産にとって生命線」という言葉を引用。「新たな価値を持つ”化学反応”が起こされなければ、統合はただの弱者の集まりになる」と紹介した。フィナンシャルタイムスは三菱自を含む3者の時価総額は580億ドル(9兆1,130億円)になるとし、東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストの「ホンダが主導権を握ることはポジティブ」との見立てがあるとした。また、スイスの日刊紙「NZZ」は、日産元社長のコメントを合わせて記事化し、関心を示した。(2024年12月24日)