米ミシガン州デトロイトを本拠地とする地元紙のデトロイト・フリー・プレスが、世界の主要自動車メーカーの電気自動車(EV)事業を検証する記事を掲載した。多くのメーカーが「いずれもどこかの時点でつまずいたり、停滞したりしている」と指摘。そのなかで唯一、現代自動車グループの高級車ブランド「ジェネシス」の取り組みを「高級車市場でもマイナーな存在だが、このグループを過小評価することは危険」と評価した。
この記事は同紙のマーク・フェラン記者のレポート。各社の論評は次の通り(原文訳まま)。
◇フォードモーター:2024年型マスタング・マッハEラリーは、480馬力、700ポンドフィートのトルクを発揮する。価格は、配送料を除き58,100ドルから。米国市場にピックアップトラックのF-150ライトニングとスポーティなマスタング・マッハEを投入したリーダーだが、度重なる延期と戦略変更により、フォードの勢いは失われている。テスラの充電ネットワークへのアクセスが助けとなるはず。
◇ゼネラル・モーターズ:初期のつまずきを経て、GMのEV展開は勢いづいているように見える。最も人気の高いセグメントから高級車まで、3つの異なるブランドの車両が販売されている。
◇ホンダ・アキュラ:2024年式アキュラZDX電気自動車の高級SUVは現在販売中。価格は6万4500ドルから。後発組であるホンダの現在の2つのEV、ホンダ・プロローグとアキュラZDXは、GMが製造し、GMの技術を使用している。ホンダが社内で開発したEVはまだ市場に投入されていないが、同社はEVに多額の投資を行っている。
◇現代・起亜自動車:韓国の大手企業は大きな失敗を避け、人気セグメントの新型車を着実に市場に投入している。ジョージア州の大型バッテリー工場が税額控除の利用を拡大すれば、収益が増加するだろう。
◇ルノー・日産:手頃な価格のEVの初期のリーダーであった日産は、提携先のルノーとの内部紛争が経営陣の気を散らしたため、その進歩は停滞している。ルノーはEVの幅広いラインナップを提供しているが、日本企業である日産と三菱の全面的な支援がなければ、真のグローバル展開や幅広い製品ラインナップを実現することはできない。
◇ステランティス:2021年に誕生した新参の巨大企業は、グローバルな事業展開をまだ軌道に乗せている最中。 ヨーロッパのブランドではさまざまな電気自動車を提供しているが、より収益性の高い北米のラムとジープのブランドは出遅れている。 今年後半にデビューする注目度の高い車種が、その状況を変えるかもしれない。
◇トヨタ:世界最大の自動車メーカーであり、ハイブリッド車の販売ではトップのトヨタは、これまで電気自動車に対して曖昧な態度を示してきた。同社の電気自動車であるトヨタ BZ4x とレクサス RZ のいずれも、熱狂的な歓迎を受けているわけではない。
◇フォルクスワーゲン:初期のリーダーであったVWのEVは、ささやかな成功を収めている。同社は最近、重要なシステムやソフトウェアの開発を社内で行うプログラムが失敗に終わったため、新興企業のRivianに目を向けている。(2024年10月6日)