米国の自動車メーカーやディーラーの業界6団体が21日付けで、ベッセント財務長官に自動車関税の見直しを求める書簡を送った。23日、各団体が発表した。

書簡では、自動車産業は米国で1000万人の雇用を支え年間1.2兆ドルの経済効果をもたらしている、と指摘。先ごろ見直された半導体などとともに、自動車部品でも追加関税の緩和を期待する声が強まっているのを受けて。
書簡を送ったのは、トヨタやホンダ、BMWなど海外メーカー団体であるオート・ドライブ・アメリカと自動車メーカー団体のアライアンス・フォー・オートモティブ・イノベーション、アメリカン・オートメーカーズ、全米自動車ディーラー協会(NADA)、ディーラーの政治団体であるアメリカ国際自動車ディーラー協会(AIADA)、米国自動車部品工業会(MEMA)の6団体。書簡を原文訳は次の通り。
▸トランプ大統領は、アメリカにおける健全でグローバルに競争力のある自動車産業の重要性を理解している。そして、米国内の自動車労働者の繁栄、車両価格の手頃さ、車両の選択肢の確保に深いコミットメントがある。それは、アメリカにある自動車メーカー、自動車販売店、自動車部品サプライヤーを代表する私たちも同様の立場であることを表明する。
これら団体に所属する企業は、国内最大の製造業として牽引し、全50州で1,000万人の雇用を支え、産業基盤を強化し1.2兆ドルの経済効果をもたらしている。自動車研究センター(CAR)によると、追加の関税が1,700万台以上の車両に影響を与えると推計している。トランプ大統領は、輸入自動車部品に対する25%の関税の見直しに前向きな姿勢を示していると認識している。それは、最近承認された電子機器と半導体に対する関税緩和と同様な措置となる。前向きな進展であり、歓迎すべき措置といえる。
既存の自動車サプライチェーンはグローバルで複雑だ。また、極めて脆弱な構造でもある。現在のルールのもとで構築されたサプライチェーン(とくに米国・メキシコ・カナダ協定に基づく関税免除貿易を含む)は、数十年にわたり米国の雇用、自動車生産、消費者の負担軽減につながっている。トランプ大統領がUSMCA協定の交渉を推し進めてから、サプライヤーの雇用は増え、とくに技術革新が進んだ。自動車部品への関税は、こうしたグローバルな自動車サプライチェーンを混乱させ、消費者の自動車価格を上昇させ、ディーラーにとっては販売台数減につながり、車両のメンテナンスコストの上昇といった予測不能なドミノ効果を引き起こすことになりかねない。
大半の自動車サプライヤーは、急激な関税による混乱に耐えられる資本基盤を持っておらず、多くの企業はすでに経営難に直面している。生産停止や人員削減、破綻のリスクにさらされているわけです。こうしたサプライヤーの1社でも倒産すれば、自動車メーカーの生産ライン停止する可能性がある。そうなれば、パンデミック時のように、すべてのサプライヤーが影響を受け、従業員が失業することになる。私たちは米国での製造業復権を支持するが、グローバルなサプライチェーンを一夜で、あるいは数カ月で変えることは不可能で、時間がかかる。大統領の目標を達成しつつ、米国の自動車産業を競争力ある状態に維持するとともに、経済的にも国家安全保障のためにも、時間の猶予を頂きたい。(2025年4月25日)