
中国EVメーカーの蔚来汽車(NIO)は25日、2025年第3四半期(7~9月、Q3)決算を発表し、売上高が前年同期比16.7%増の2,179億3900万元(4兆8,142億円)となった。販売台数は40.8%増の8万7071台と過去最高を記録し、「NIO」「ONVO」「FIREFLY」の3ブランド構成が販売拡大を押し上げた。生産効率改善と原価低減が進み、損失幅は大きく縮小した。
期中の販売台数はNIOブランドが3万6928台、ファミリー向け新ブランドONVOが3万7656台、小型プレミアムEV「FIREFLY」が1万2487台と、各ブランドが順調に成長。前四半期比で20.8%増となり、販売増が売り上げを牽引した。10月単月の納車も4万0397台と高水準が続き、年初来納車は24万1618台に到達したという。
売上・粗利とも改善、粗利率は13.9%に上昇
車両販売収入は前年同期比15.0%増の1,920億2300万元(4兆2,417億円)。車両粗利率は14.7%と前年同期(13.1%)から1.6ポイント上昇し、2025年第2四半期の10.3%から大きく改善した。部品・アフターサービスの収益増とコスト最適化が寄与し、全体の粗利率も13.9%と過去3年で最高水準に達した。
研究開発費も前年同期比28%減となり、組織最適化と開発ステージの移行が奏功した。これにより、営業損失は35億2150万元(777億円)と前年同期比32.8%減、調整後営業損失も39.5%改善した。最終損失は前年同期比31.2%減の34億8050万元(768億円)。事業のキャッシュフローは営業ベースで黒字化し、9月に約11.6億ドルの増資を完了したことで、現金等残高は366億元(8,084億円)に積み増した。
第4四半期は過去最高の12~12.5万台を計画
李斌(ウィリアム・リー)CEOは「供給網との連携を強化し、製造を一段と引き上げる」と述べ、第4四半期の納車を12万~12万5000台(前年同期比65~72%増)と見込む。売上高も327億5800万~340億3900万元(7,236億円~7,510億円)を予測し、四半期ベースで過去最高となる見通しだ。フラッグシップモデルの「NIO ES8」や「ONVO L90」など主力車種の販売が好調なうえ、都市向け小型EV「FIREFLY」の認知度も進んでおり、同社は「加速成長の新局面に入った」として、中長期の収益改善を見据えブランド群と交換式バッテリー網の強みを生かした販売展開に意欲を示した。(2025年11月27日)