
欧州自動車部品工業会(CLEPA)は23日、オランダ政府が中国系半導体メーカーNexperiaの経営権を掌握したことを受け、欧州の自動車生産に深刻な影響が及ぶ可能性があると警告した。
中国が報復措置
オランダ政府は9月30日、国家安全保障上の懸念を理由に、同国を拠点とするグローバル半導体メーカーNexperiaの管理権を掌握した。背景には、同社の中国親会社を通じた機密技術の流出懸念があるとされる。これに対し中国政府は、Nexperiaが中国国内で製造した製品の輸出を禁止する報復措置を発動。欧州の自動車産業サプライチェーン全体に混乱が広がるリスクが急速に高まっている。
「慎重かつ誠実な対応を」―CLEPAが訴え
CLEPAのベンジャミン・クリーガー事務局長は声明で、「この問題は極めて敏感だ。欧州のモビリティ変革は安定した半導体供給に依存しており、関係者全員に誠実で慎重な対応を求める」と述べたうえで、「自動車部品メーカーはOEM(自動車メーカー)と重要部品工場の間に位置する中間層として最初に打撃を受ける。全バリューチェーンの混乱を防ぐため、実行可能な即時の解決策を見出す必要がある」と強調した。
CLEPAはまた、欧州域内の半導体生産構造に潜む弱点を改めて指摘した。長年の投資判断の結果、欧州では依然としてパッケージング能力が不足しており、「地域的な生産力を強化する戦略的必要性が、今回の事態で明確に浮き彫りになった」と分析する。
半導体は車載電子機器やレーダーセンサーなど、最大700点に及ぶ主要部品に不可欠である。CLEPAによると、こうしたチップ不足は数日以内に生産量へ影響を及ぼす恐れがあり、レーダーセンサー関連だけでも週あたり約100万個のチップが必要とされるという。
クリーガー氏は「我々の会員企業の現場経験と知見を、産業・政治の両レベルで解決策に反映させることが不可欠だ」と述べ、欧州自動車産業全体の生産継続性を守るため、全関係者に迅速かつ現実的な対応を求めた。(2025年10月23日)