• 2025-12-11

フォードとルノー、欧州で包括提携 アンペールを活用し低価格EVを共同開発 商用車でも協業へ

フォードモーターとルノーグループは9日、欧州市場での競争力を強化するため、電気自動車(EV)と小型商用車(LCV)分野で包括的な戦略パートナーシップを結んだ、と発表した。フォードはルノー傘下のEV専門会社「アンペール」のプラットフォームを活用し、手頃な価格帯に位置づけるフォードブランドのEVを導入する。

両社が締結した協定に基づき、フォードのデザインを起点に、アンペールのEVアーキテクチャとルノーの生産能力を組み合わせ、フォードブランドのEV2車種を共同開発。製造は北フランスの「ElectriCity」で行う。「Ford DNA」を備えながら、アンペールの効率的な電動化技術とスケールを取り込むことで、欧州市場で求められる低価格ゾーンのEV投入を加速する狙いだ。第1弾の発売は2028年初頭を予定する。

両社はあわせて、欧州のライト商用車での協業に向けた基本合意書(LOI)も交わした。対象となる一部車種について、共同開発・生産の可能性を検討する。フォードとルノーはいずれもLCV事業で長い実績を持ち、調達規模や生産ネットワークを共有することで、利益率の向上と投入速度の短縮を図る。

ルノーグループのフランソワ・プロストCEOは「大手フォードとの協業は欧州での競争力の高さを示す。互いの強みを結集することで、変化に迅速に対応できる」と述べた。フォードのジム・ファーリーCEOも「アンペールの電動化資産とフォードの走りの魅力を融合させる。この提携は欧州事業の未来に向けた重要ステップだ」と語った。

両社は今後、デザイン、ソフトウエア、サービス、サプライチェーンなど幅広い領域で連携を強化する。欧州で急速に進む電動化の潮流に対応しつつ、商用車事業の効率化と差別化を狙う。
Ampereを軸にした今回の協業は、欧州市場での「新しいEV競争力の再構築」を象徴する動きとなりそうだ。(2025年12月10日)