
メルセデス・ベンツ・グループが12日発表した2025年通期決算は、世界的な需要減速や中国市場の販売減、価格競争の影響を受け減収減益となった。一方、最上位車種の販売比率拡大や徹底したコスト管理により業績は会社計画の範囲に収まり、電動化・ソフトウエア戦略を軸に商品攻勢を強める構えだ。※為替は2025年12月末時点の参考水準(1ユーロ=約165円)で換算。
高級車比率拡大で収益確保、40車種投入へ攻勢
2025年の売上高は1,322億ユーロ(約21兆8,100億円)と前年の1,456億ユーロ(約24兆240億円)から減少。調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は82億ユーロ(約1兆3,500億円、前年137億ユーロ=約2兆2,600億円)、産業部門のフリーキャッシュフローは54億ユーロ(約8,900億円、同92億ユーロ=約1兆5,200億円)だった。設備投資や無形資産投資の増加がキャッシュフローを押し下げた。
主力の乗用車部門では、中国での販売減少や価格圧力、関税・為替の逆風が響き、調整後EBITは48億ユーロ(約7,900億円、前年87億ユーロ=約1兆4,400億円)に縮小。ただし販売効率改善やコスト削減が収益を下支えし、売上高利益率は5.0%(関税除き6.1%)とガイダンス内を維持した。最上位モデルは乗用車販売の15%を占め、ブランド価値の維持と収益確保に寄与した。バン事業は競争激化のなかでも売上高利益率10.2%と4年連続の2桁を確保。電動バン販売は前年比46%増で、EV比率は世界8%、欧州では11%まで上昇した。調整後EBITは17億5,000万ユーロ(約2,900億円、前年28億ユーロ=約4,600億円)。
金融サービス部門は自己資本利益率(ROE)9.7%と計画を上回り、調整後EBITは12億6,700万ユーロ(約2,100億円、前年11億3400万ユーロ=約1,900億円)。総ポートフォリオは1,288億ユーロ(約21兆2,500億円)だった。同社はソフトウエア基盤「MB.OS」や高度運転支援「MB.DRIVE」など次世代技術の展開を加速。新型CLAやGLC、Sクラスなど新モデルへの市場評価は高く、受注残は2026年後半まで積み上がっているという。
今後は2027年までに40車種以上を投入する大規模商品計画を進める。電動化とデジタル化を軸に高付加価値車戦略を継続し、変動の大きい世界市場への耐性強化を図る考えだ。
独従業員に最大3,139ユーロの成果配分 140周年で記念株も付与
また、同社はこの暫定業績を踏まえて、ドイツ国内の従業員に最大3,139ユーロ(約52万円、1ユーロ=約165円換算)の成果配分を支給する見通しだと発表した。厳しい市場環境の中での業績達成を踏まえ、社員への利益還元と士気向上を図る。最終的な支給額は3月の正式決算確定後に決定する。
対象はドイツの労使協約適用従業員約8万5,000人で、4月給与と合わせて支払う予定。支給額は個人給与とは連動せず、EBIT(利払い・税引き前利益)やフリーキャッシュフローなど財務目標の達成度に加え、持続可能な事業戦略の進展を反映する算定方式としている。さらに同社は創業140周年を記念し、ドイツ国内の全従業員に「メルセデス・ベンツ記念株」を付与する。配当や株価上昇の恩恵を共有することで、従業員の企業価値向上への参画意識を高める狙いがある。(2026年2月13日)