欧州自動車部品工業会(CLEPA)は6日、欧州委員会(EC)のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長宛にバッテリーバリューチェーンへの支援の必要性など6つの提言を盛り込んだ公開書簡を送った。産業支援を強化する中国と米国を名指ししながら、欧州での早急な競争力強化への取り組みを求めた。4日には排ガス規制「ユーロ7」の早期導入を求める公開書簡を送ったばかりで、欧州自動車部品業界は競争力強化のためには躊躇なき環境規制こそ必要との見解を示した格好だ。
グリーンとデジタルへの移行加速を
CLEPAは書簡のなかで、「今すぐ行動を起こさなければ、さらなる遅れが生じ、欧州自動車産業の変革と競争力が損なわれることは避けられない」と指摘し、1300万人以上というEU域内での自動車産業界の雇用には欧州委員会の課題対処を早急に確立すべきと主張した。
提言は6つで、ひとつは「強固な産業戦略の策定」で、競争力を引き上げる産業育成を求めた。なかでも、中国と米国を名指しし、これに対峙したEU域内での規制と環境整備を訴えた。2つめは「欧州のゼロエミッション市場とバッテリー・バリューチェーンの拡大」で、重要原材料法およびネット・ゼロ産業法に加えて、バッテリーなどの分野で米国のインフレ抑制法への対応を求めた。3つめは「水素セクターに対する安定した首尾一貫した規制環境の確保」。規制の枠組みは分断されている水素セクターで、規制を合理化し技術革新を支える技術中立性を再認識することを全体に、現実的な規制のあり様の大切さを訴えた。4つめは「技能アジェンダとジャスト・トランジションの枠組みの強化」で、自動車産業のソーシャル・パートナーである欧州自動車地域連合(European Automotive Regions Alliance)と自動車技能同盟(Automotive Skills Alliance)を主導的に、ハイテク自動車産業のためのデジタル技術を促進することを求めた。5つめは「手頃な価格の交通手段の改善」とし、流通分野でのグリーン投資と修理可能性を支援すべき、と訴えた。最後の6つめは「世界的に公平な競争条件を確保する」とし、多国間貿易の推進体制を確保することこそ欧州の製造業の競争力につながる、とした。
CLEPAは、「欧州自動車産業が危機的状況にあることを認識している」と話し、脱炭素化を図りながら欧州域内での雇用と守るために、欧州自動車産業の変革に向けて協力を要請した格好だ。