欧州自動車工業会(ACEA)は25日、年内に期限切れするEU・英国貿易協力協定(TCA)の現行の原産地規則(ROO)を3年間延長するよう欧州委員会のアーシュラ・フォン・デア・ライエン委員長に書簡を送った、と発表した。ROOが期限切れすると、EUと英国間の電気自動車(EV)貿易で関税が課され3年間で43億ユーロ(6822億円)損失する、と訴えた。
このROOは、EUの自由貿易協定(FTA)における輸出関税優遇措置を受けるため必要な規則で現在、自動車は40%または45%の非原産部品含有率(NOM)となっている。ACEAによると、TCAではバッテリーを欧州で組み立てすることの義務づけを条件に「欧州現産品」として認め、通常10%の輸出関税を免除している。このROOは今年末までに適用することになっており、2024年以後はすべてのバッテリーの部品と材料が原産国であることが要求されることになっており。しかし、その遵守率は10%にとどまると見通しで、このままROOの優遇措置が撤廃されると関税が課されることになる。
EUから英国へのEV輸出は総輸出台数の1割以上(2022年実績)で、ACEAはROOの優遇措置が撤廃されれば「欧州の自動車メーカーは今後3年間で43億ユーロの損失を被り、電気自動車の生産台数が約48万台減少する可能性がある」と警告した。このため、TCAにおける現行のROOを延長することで、EU域内のバッテリー産業が国際競争に打ち勝つための強力なEV生産基盤を確立するのに不可欠との考えを示した。
EUのフォン・デア・ライエン委員長に対するACREAの書簡は次の通り。Letter_rules_of_origin_for_batteries_in_the_EU_UK_Trade_and_Cooperation_Agreement.pdf (acea.auto)