• 2024-12-23

欧州議会、大型車の排出規制案を採択。2040年までに90%削減(2019年比)へ

欧州議会は21日、大型車の二酸化炭素(CO2)排出規制の強化案を採決し賛成多数で承認した。2040年までに2019年比で90%削減をめざす。今後、この削減目標への取り組みについてEU各国との協議に入ることになる。

規制案は賛成445票、反対152票、棄権30票で採択された。これにより、排ガス規制は当初案通り、ゴミ収集車やコンクリートミキサーなどのほかバスを含む中型・大型トラックを対象に大幅なCO2排出削減を求めることになる。また、2030年からは都市バスでゼロ・エミッション車のみとした欧州委員会の提案にも同意した。バイオメタンを燃料とする都市バスについては、2035年まではその規制対象外として免除した。

議会への報告者であるバス・アイクハウト氏(オランダ)は同日午後記者会見するとともに、「ゼロ・エミッションのトラックやバスへの移行は、気候目標を達成するための鍵であるだけでなく、都市の空気を浄化するための重要な原動力になる。欧州のトラック・バス業界には、電動化と水素への投資を促す明確なインセンティブを提供する」と述べた。

欧州自動車工業会(ACEA)はこの欧州議会での採択にコメントを発表し、シグリッド・デ・フリース事務局長は「メーカー各社は脱炭素化のために最大限の努力を払っているが、それを可能にするにはメーカー各社のコントロールではなく、道路交通のグリーン化を加速させるインセンティブを与える政策枠組みを確保しなければならない」と指摘した。ACEAはトラックだけでEUの陸上輸送の77%を、公共交通機関の移動の半分以上をバスが支えている状況のなかで、ゼロ・エミッション車の拡大には行政支援が不可欠との主張を続けている。とくに、40万台以上のゼロ・エミッション・トラックが道路を走るためには年間約10万台のゼロ・エミッション・トラックが新規登録されるか、新規販売台数の少なくとも3分の1がゼロ・エミッション・トラックとなることが必要とし、同時に3万5千基のメガワット充電システム(MCS)と700基の1日2トンの水素充填ステーションを含む、少なくとも50,000基の一般利用可能な充電器が必要としている。

欧州委員会は今年2月に、2050年までに気候変動を中立化するというEUの目標を達成し輸入化石燃料の需要を削減する目的で、2030年以降の大型車のCO2排出基準を強化する法案を提出。現行では2030年以降2019年比で30%減としていたCO2排出基準を、同比45%減へと目標値を引き上げるとともに、2040年以降は2019年比で90%減とする新たな目標値も策定した。EUにおける道路交通からの温室効果ガス(GHG)排出量の25%以上を占め、EU全体のGHG排出量の6%以上を占めているという。