ステランティスは22日、東風汽車グループからステランティス株5千株を総額9億3400万ユーロ(約1513億円)で買い戻し消却する、と発表した。これにより東風のステランティスへの出資割合は1.58%に半減する。先月、ステランティスと東風汽車は中国での合弁会社「神龍汽車」の資産売却でも合意しており、今後の両社の事業枠組みも変わる可能性がありそうだ。
ステランティスは、東風汽車グループ子会社の東風汽車(香港)国際有限公司が、ステランティス普通株5千万株をステランティス側に総額9億3400万ユーロで売却した。両社は今年7月に合意した株式買い戻しの枠組みを定めており、東風側がステランティスに対し株式数などを明記した売却提案を提出していた。価格は、東風が売却提案を提出した今月21日直前までのユーロネクスト・ミラノにおけるステランティス株式の5日間の終値平均をもとに設定した。
ステランティスは買い戻した株式を消却する。事実上の原資となる。22日現在、ステランティス株は18ユーロ後半で上げ気配にある。東風は引き続きステランティス株の1.58%に相当する4920万株の普通株保有する。
一方、ステランティスと東風汽車グループが1992年に設立した合弁会社「神龍汽車」の武漢市などにある一部資産を東風汽車に売却することが発表されている。売却額は17億1400万元(約351億円)。神龍汽車は、EV化が進む中国市場での競争力を弱めているといわれており、東風側が主導し立て直すためとみられている。神龍汽車ではプジョー・シトロエン車の組み立て生産を行っており、今後もその事業関係に変わりはないとしているものの、今回の資本提携の見直しで両者の中国合弁事業も転換していくとの見方が広がっている。