欧州自動車工業会(ACEA)は11月29日、競争力のあるモビリティ・エコシステムのためのマニフェストを発表した。デジタルとグリーン・バリューチェーンにおける産業戦略づくりやEU域内での雇用力の確保など5つの政策提言を行うとともに、「供給」と「生産」「需要」を3つの柱にしたロードマップを策定した。
「Future Driven」と題したこのマニフェストとロードマップには、欧州の主要自動車メーカーのCEOが共同で署名した。UAEで開催される気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)を翌日に控え、また来年には選挙を控える欧州議会と欧州委員会に向け、欧州の自動車業界として取り組むべきテーマを掲げ自身の取り組みべきこととして示した格好だ。
同日の理事会で2期目の再選を果たしたACEAのルカ・デ・メオ会長(ルノー・グループCEO)は、「私たちのセクターは過去100年以上で最大の変革の真っ只中にある。脱炭素化の必要性に疑問の余地はなく、私たちはこれを実現するために数十億ドルを投資している」と述べた。同時に、モビリティ・エコシステムを変革するためには「単独では不可能」とし、「供給」と「生産」「需要」の3つを柱にパートナーと共に実施する必要があると指摘。これをマニフェストとして発表した。
マニフェストでは5つの政策提言を盛り込んだ。①産業戦略の確立②規制の枠組みの再考③グローバル競争力の強化④技術の中立性の確認⑤人と商品の異動の自由の確保ーで、これを実現するための自動車業界のロードマップとして①供給:重要な材料と部品および手ごろな価格のエネルギーの安定供給②生産:欧州をグリーンでスマートな自動車生産の中核地とする③需要:ゼロエミッション車の市場拡大ーの3つを示した。