欧州理事会と欧州議会は18日、自動車の排ガスとEVバッテリーに関する新規則「ユーロ7」を暫定的に合意した、と発表した。これまで車種ごとに異なる規制要件だったのを乗用車とバン、大型車をひとつの法規制を設定する世界初の取り組みとなる。また、自動車からの排ガスだけでなくブレーキの粒子やタイヤ摩耗についても規制を設けた。今回の暫定合意に対し、欧州業界からは「計画の確実性を歓迎するが、技術的・投資的課題もある」(欧州自動車工業会)と指摘する声もあがっている。
ユーロ7は、乗用車とバンを対象にした「ユーロ6」に、トラックとバスの「ユーロⅥ」に代わる規制となる。これまで分かれていた規制区分をひとつにまとめた。規制値は乗用車とバンは現行のユーロ6を維持し、トラックとバスの大型車は窒素酸化物の排出基準を厳格化し、亜酸化窒素の排出規制を追加した。EVやHVで用いるバッテリーの耐久性もルール化され、走行開始から5年または10万㎞時点での容量維持率を80%などとする基準を設けた。今後、加盟各国の承認などを経て乗用車は2030年7月に、トラックとバスの大型車は2031年7月からの施行をめざす。
このユーロ7の暫定合意を受けて、欧州自動車工業会(ACEA)は同日18日、声明を発表し「主に小型車のブレーキ排出ガスや電気自動車のバッテリー要件など、未来志向の課題を優先することを選択したことに注目している。大型車の排ガス規制と試験手順も大幅に強化された」とシグリッド・デ・フリース事務局長は述べた。
欧州自動車部品工業会(CLEPA)のベンジャミン・クリーガー事務局長は、「欧州委員会の提案は、いくつかの重要なセーフガードを講じて実施できたはずだ。本日の合意により、欧州委員会の提案のほとんどが取り除かれる。ブレーキ粒子制限の進展は、ハイブリッド車や燃料電池車の性能をさらに評価し、NOxや粒子径をある程度改善することを可能にした」と話した。
ジョルディ・ヘレウ・イ・ボエル、スペインの産業・観光大臣「Euro 7では、排気ガスだけでなく、ブレーキやタイヤからの排出ガスも削減することを目指している。同時に、2035年までに業界がほぼゼロエミッションの自動車に大きく飛躍するのを支援することを目指している」