• 2024-06-29

ルノー・グループと吉利控股集団(ジーリーホールディング)、吉利汽車控股有限公司(ジーリーオート)は5月31日、内燃機関(ICE)の合弁会社「ホース・パワートレイン」を正式に設立した、と発表した。年間約500万台を生産し、150億ユーロ(2兆5,576億円)の売り上げを見込む。

新会社は、ルノーと吉利が50%ずつ出資した合弁会社で本社を英ロンドンに置いた。同日付けで、ルノーの「ホース」と吉利の「オーロベイ」はそれぞれ事業分割し、新会社に移管された。両グループからダニエル・リー吉利汽車副会長を含む3人ずつの取締役を送り込んだ。CEOには、コンチネンタル出身で独ヴィテスコ・テクノロジーズの元販売担当取締役副社長のマティアス・ジャンニーニ氏が就任した。

ルノー、吉利両グループの内燃機関部門、世界に17ある生産工場と5つの研究開発センター、約19,000人の従業員を引き継ぐ。ルノー・グループと吉利汽車のほかボルボ・カーズ、プロトン、日産自動車、三菱自動車工業など130カ国に9社の顧客を持つことになり、年間売上高は約150億ユーロを見込む。新会社はフルハイブリッド、長距離プラグインハイブリッドの開発と製品を供給するほかエタノールやメタノール、LPG、CNG、H2などの代替燃料を使用する内燃機関など、あらゆるタイプのハイブリッドソリューションをカバーする方針だ。

ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは 「自動車業界が直面する最大の課題である道路交通の脱炭素化に向けた重要な一歩を踏み出すことができた。ホース・パワートレインを通じて、ルノーグループは事業の80%以上を占めるこの分野で、世界的なリーダーシップと規模を達成することができる」と話した。ジーリーホールディングのエリック・リー会長も 「今後数十年の間に業界がネット・ゼロ・エミッションを達成するためには、グローバルな相乗効果、複数の技術、専門知識の共有が不可欠だ。ホース・パワートレインが明日の自動車産業が求める低排出ガスソリューションを提供するためのポートフォリオ、規模、能力を持ち、持続可能なモビリティの新たな章を飾るものであり、吉利はその一翼を担えることを誇りに思う」と述べた。

両グループは、2040年までに生産される自動車の半数以上が依然として内燃機関に依存すると予想。脱炭素化には高効率の内燃機関(ICE)、低炭素の電子燃料、水素など、さまざまなパワートレイン技術の組み合わせが必要だ、と指摘した。

新会社の経営体制はCEOのマティアス・ジャンニーニ氏のほか、最高財務責任者には吉利出身のリー・マ氏が、最高人事責任者にはルノー出身のファン・フェレラ氏が就く。吉利のオーロベイCEOの王睿平氏と、スペイン・マドリードにあるルノーのホース社CEOのパトリス・ヘッテル氏はそのまま、新会社マティアス・ジャンニーニCEOの直属となる。また、新会社の吉利からの取締役はダニエル・リー(吉利汽車副会長兼吉利控股CEO)、ジェリー・ガン(吉利汽車グループCEO)、ジョー・チャン(吉利控股最高財務責任者)の3氏で、ルノーグループからは フランソワ・プロヴォスト(調達・パートナーシップ・広報担当最高責任者)、ジル・ル・ボルニュ(技術担当最高責任者)、ドゥニ・ル・ヴォ(ダチアCEO兼サプライチェーン担当最高責任者)の3氏。

新会社CEOとなったマティアス・ジャンニーニ氏は、オークランド大学でファイナンスのMBAを取得し、カンピナス大学で機械工学の学位を取得。コンチネンタルに務めた後、ヴィテスコ・テクノロジーズに移り、北米のほかドイツや南米で、エンジニアリング、プロジェクトマネジメントなどを歴任した。とくに、コンチネンタルの経営陣の一員としてヴィテスコ・テクノロジーズの事業分割に取り組み、2021年9月には同社を上場させた経歴を持つという。(2024年6月3日)