ルノーグループは10日、フランス首都圏の騒音観測会社「ブリュイパリ」と道路の音響状態に関する地図作成で協力することで合意した、と発表した。ルノーグループが開発した騒音分析技術「Apache(アパッチ)」を搭載した「メガーヌE-Tech」を使って、パリ市内や環状道路などの道路で計測する。道路での音響状況を示す地図を作成することで、地方自治体の道路管理を効率化することができるという。
「メガーヌE‐Tech」30台を2年間走らせて
両者は昨年、サンカンタンアンイヴリン都市圏での試験運用についで、イル・ド・フランス地域の道路の音響状態を調べ地図にするためのパートナーシップ契約を締結した。Apacheデバイスを搭載した「メガーヌE-Tech」約30台で、2年間にわたって走行する道路の騒音レベルをメートル単位で測定する。
ルノーでは、道路騒音の強弱は道路の状態を反映するもので、最近舗装された吸音性の高い道路と老朽化した道路では、車両の走行音が10分の1違うこともあるという。なかでも、道路の劣化は転がり抵抗を増大させ、エネルギー消費やCO2排出、汚染物質粒子、タイヤの摩耗を増加させるとしている。
今回、騒音観測会社のブリュイパリと連携することで地域の道路音響が分かる地図を作成し、道路管理する地方自治体の保守管理業務に役立てたい考えだ。
欧州規制にも対応
ブリュイパリのオリビエ・ブロン会長は「ルノーグループと提携し、同社のApacheテクノロジーを活用することで、欧州指令2002/49/ECの実施を担当するイル・ド・フランス地方の14都市圏を対象に当社が作成する戦略的騒音マップの精度と品質を大幅に改善することが可能になる。これにより、舗装の劣化、交通量が多い、住民が多い、学校や医療施設があるなどの条件を満たす地域を特定し、それらの地域を舗装補修の優先地域として地方自治体が考慮すべきであると判断できるようになる」とその意義を強調した。
健康被害改善にも。新たな付加価値サービス狙う
同社では、イル・ド・フランス地域では道路交通が騒音の主な原因となっており、100万人の住民が道路交通騒音の規制限界値(68dB)を超えるレベルにさらされ、860万人がWHOが推奨する値(53dB)を超える地域に住んでいるとし、これらによる睡眠妨害が心血管系疾患のリスクを高め、パリ首都圏では一人当たり平均6カ月の健康な生活を損失させる原因となっているという。(2024年9月11日)