• 2024-09-29

欧州部工会、アフターマーケット市場予測踏まえメーカー寡占化に法規制を求める。市場は2035年に1,619億ユーロに

欧州自動車部品工業会(CLEPA)は10日、欧州のコンサルティング会社と共同で2035年までの欧州自動車アフターマーケット業界の将来像をまとめ、フランクフルトで開催中の展示会「アウトメカニカ」で発表した。今年7月からすべての新車に義務付けられたサーバーセキュリティ対策が、正規ディーラー以外の事業者参入を難しくし消費者の修理費用の高まりにつながるとして、独立系事業者も取り組むことができる枠組みが必要と訴えた。

同調査はコンサルティングファームのアリックス・パートナーズとベリルズが共同で実施したもので、2035年までの欧州での自動車アフターマーケットの競争力を分析し、新車技術やサイバーセキュリティ要件、SDV(ソフトウェア定義車両)への移行が同市場にどのように影響するかを考察した。専門家へのインタビューなどを通じて、アフターマーケットの将来を見通す5つの主な要因を示した。

それは①特定の自動車部品が自動車メーカーのみに限定されていること②交換部品に特定のコード化や起動が必要であること③独立系修理店におけるソフトウェア更新のためのインターフェースが時代遅れであること④車載データへのアクセスが限定的であること⑤車両修理のコストが上昇しているー。

EUでは2021年に発効した自動車のサイバーセキュリティ規制(UN-R155)で、今年7月からはすべての新車がその対象となっており、CLEPAでは自動車メーカーからしか調達できない部品が増えていることもあり、消費者の修理コストがさらに増加すると予想している。

CLEPAの市場担当シニアコンサルタントであるフランク・シュレフーバー氏は「消費者が自動車のサービスプロバイダーを自由に選択できるようにするためには、サイバーセキュリティ、情報アクセス、部品の入手可能性に対応する強固な法律が不可欠だ」と指摘する。

また、同調査では欧州7カ国のデータから、整備工場での部品と人件費の市場規模を計1,502億ユーロ(約23兆5千億円)だと試算し、今後年0.7%成長すれば2035年までに1,619億ユーロ(約25兆3,260億円)に成長すると予測した。しかし、自動車メーカーの支配力が強まれば修理コストは1,979億ユーロ(約30兆9,575億円)にまで上昇し、消費者は年間350億ユーロ(5,750億円)の負担増になるという。

CLEPAでは、「自動車技術の進展は自動車メーカーの独占的地位を強化しており、立法者による行動が不可欠」という。独立系事業者にとって、アフターマーケットですべての補修部品の入手を保証するためには、「自動車型式指定免除規則(MVBER)の延長と改正を2028年以降も継続することが重要だ」、と指摘する。さらに、消費者がサービスを受ける場所を自由に選択できるようにするためには、車載データの使用と車両リソースへのアクセスに関する規制が必要だと訴えた。(2024年9月11日)