欧州自動車部品工業会(CLEPA)は29日、EUの自動車エレクトロニクスと半導体のエコシステムを強化するための包括的なビジョンと戦略的提言をまとめ発表した。中国勢など世界的なエレクトロニクス分野の競争激化に、米国や日本など西側勢との協力関係を促しながら、研究開発とバリューチェーン強化への投資を一層促進する必要がある、と指摘した。
米国、日本とも協力推進を求める
欧州部工会では、近年の自動車業界が自動運転やコネクテッドカー、SDV(ソフトウェア定義アーキテクチャ)、電動モビリティの進歩により急速な変革期を迎えている、と指摘。「 これらのトレンドが加速するにつれ、自動車エレクトロニクスと半導体技術がイノベーションの最前線に位置づけられるようになっている」とし、「 欧州は自動車用マイクロコントローラ、センサー、パワーエレクトロニクス、システム統合の分野で世界的な競争の激化に直面してる」との危機感を訴えた。
そのうえで、欧州では4つの主要なテーマでの長期的戦略を必要としていると提言した。①自動車エレクトロニクスの研究開発拠点②競争力と投資条件③産業化のための的を絞った合理的な資金調達④グローバル市場とサプライチェーンの4テーマ。なかでも、欧州の研究開発におけるリーダーシップの強化を必要とし、半導体と自動車エレクトロニクスにおける最先端の研究とイノベーションを優先する必要がある、としている。
また、競争力と投資条件の強化では、投資を誘致するために欧州はエネルギーコストの削減、安定したエネルギー供給の確保、人材プールの拡大、規制および行政プロセスの簡素化など、重要な枠組み条件に取り組む必要があるという。産業化に向けた合理化された資金調達確保には、EUチップ法が製造への大規模な投資を促進したものの自動車用電子機器のバリューチェーンの他の分野、例えば複雑なチップ設計、高度なパッケージング、システム統合なども支援対象に含めるよう求めた。さらに、グローバル市場へのアクセス拡大では、米国や日本、韓国、台湾などの主要パートナーを名指しし、戦略的提携関係の構築を必要視した。研究開発や製造における協力、原材料の確保やサプライチェーンの多様化で、欧州の競争力と回復力を強化すると指摘している。(2024年10月29日)