クライスラーやジープ、フィアット、プジョーなどを展開するステランティスは1日、カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)が退任する、と発表した。同日開かれた取締役会で、タバレス氏からの辞表を受理した。後任は未定で、来年半ばまでに決めるとしている。それまで、取締役会のジョン・エルカーン会長を議長とする暫定執行委員会を設置し、業務執行を行う。
後任は未定。当面「暫定執行委員会」が執行
タバレスCEO辞任の理由を、ステランティスのシニアインディペンデント・ディレクター、アンリ・ド・カストリーズは「ここ数週間で異なる見解が浮上し、その結果、取締役会とCEOは本日の決定に至った」とし、タバレス氏と取締役会の意見の相違があったことを認め、主に北米での販売不振や全米自動車労組(UAW)との軋轢、長期にわたる在任期間などへの批判がタバレス氏辞任につながったようだ。
タバレス氏はポルトガル生まれの66歳。仏PSAグループ会長当時にフィアット・クライスラーとの合併を主導、「ステラティス」として世界第4位の自動車メーカーへとけん引してきた。今年初めには、2026年初頭の契約満了をもって退任する、と発表されていた。
北米事業での販売不振が続き、ディーラーからも批判
ステランティスの今年上半期のグローバル販売台数は10%減少し、第3四半期には20%も急落し。なかでも、米国での販売台数は年初からの9か月間で17%減少している。このため、事業再構築を推し進めており、ミシガン州ウォーレンのトラック工場で約1,200人の従業員をレイオフし、ピックアップトラック「ラム1500クラシック」の生産中止に踏み切った。また、11月には「ジープ・グラディエーター・ピックアップトラック」を製造するトレド・アセンブリー・コンプレックス・サウス工場で、2シフトのうち1シフトを削減し、約1,100人の従業員を無期限でレイオフする計画を発表している。
8月には、同社の米国ディーラー協議会のケビン・ファリッシュ会長が、「タバレス氏による決定の多くに問題があった」とする書簡を送付。ファリッシュ氏は、「2023年、あなたはステラントスにとって記録的な利益を達成し、最高報酬の自動車CEOの称号を手に入れた」と指摘し、「2023年に記録的な利益を確保するという無謀な短期的な意思決定は、米国市場に壊滅的な、しかし完全に予測可能な結果をもたらした」と批判していた。(2024年12月2日)