
フォルクスワーゲン(VW)は5日、エントリーレベルの電気自動車(EV)として2027年にも発売予定のプレビューモデル「ID. EVERY1」を世界初公開した。地元・欧州市場向けに2万ユーロ(320万円)程度の低価格で発売する計画だ。「電動化時代のビートル」と位置づけ、EVの本格普及となる戦略車にしたい考えだ。
地元・欧州でのEV本格普及をめざし大衆モデル化
「ID. EVERY1」は、VWの新しいモジュラーエレクトリックドライブプラットフォーム「MEBプラットフォーム」をベースに開発。前輪駆動方式を採用し、最高速度130 km/hとした70 kW(95 PS)の出力を持つ新開発の電気駆動モーターを搭載する。航続距離は少なくとも250㎞。車両サイズはコンパクトで、全長は3,880mm。up!(3,600 mm)と「ID. 2all(4,050 mm)」、現行の「Polo(4,074 mm)」の間に位置づけられるという。4人乗りで、ラゲッジルーム容量は305リットル。
航続250㎞と日常使いを想定

同社は2027年に生産・発売する予定。価格は2万ユーロ程度とし、「ID. 2all1」は2026年に2万5000ユーロ台で発売する予定だ。両モデルは、VWグループの主要ブランドで構成される「ブランドグループコア」に属す見通しだ。
また、「ID. EVERY1」はVWグループで初めて、新しいソフトウェアアーキテクチャを採用するモデルとなり、 新車購入後も顧客のニーズに合わせて個別にカスタマイズすることができる仕組みを採用した。

VWデザイン責任者のアンドレアス・ミント氏は「私たちの目標は、大胆でありながら親しみやすいものを作り出すこと。ID. EVERY1は自信に満ちた外観でありながら、親しみやすいものだ。単なる車以上の存在となり、人々が共感できる個性とアイデンティティが与えられている」とアピールした。
VWでは今後、2027年モデルのID. EVERY1をはじめ電動モデルを大幅に拡充する方針を打ち出している。昨年末に同社従業員との共有ビジョン「Future Volkswagen」に沿って、3段階の計画を推進していく方針だ。「アドバンス」として、競争力を強化し既存のモデルラインナップをターゲットを絞って拡大。2025年秋に新型のEVアーバンカーファミリーを公表し、「アタック」では2027年までに、2万5,000ユーロ未満のID.2allの量産モデルや、2万ユーロ前後のID. EVERY1など、9つの新型モデルを投入する予定を打ち出し、「達成」として2030年までに、最も安全で革新的なベストセラー車を提供し、技術的に最先端の大量生産メーカーとなることをめざすとしている。(2025年3月7日)