
ボルボ・カーズは12日、スウェーデンの鉄鋼メーカーSSABとの間でリサイクル鋼とゼロエミッション鋼の購買契約を結んだ、と発表した。近く発売する電動SUV「EX60」に採用する。リサイクル鋼を本格採用するのは同社が初めてとなる。ボルボ・カーズは2030年までに車両全体で再生材使用率を平均30%とすることをめざしており、リサイクル鋼を利用することで鋼材生産時のCO2排出量削減に貢献したい考えだ。
2030年までに再生材使用率30%をめざす
SSABとの購買契約では、スクラップ鋼をリサイクルするSSAB独自の「クローズドループシステム」によるリサイクル鋼をボルボ・カーズが調達するほか、ゼロエミッション鋼の量産供給も含む。ボルボ・カーズのサプライチェーン・製造担当チーフのフランチェスカ・ガンボニ氏は、「当社の生産プロセスにおける二酸化炭素排出量の最大の要因の一つは車両製造に使用する鋼で、新車1台あたりの材料関連排出量の平均25%を占めている。当社は2040年までに温室効果ガス排出量ネットゼロを達成することをめざしており、鋼鉄関連排出量の削減は、この目標達成に大きな影響を与える可能性がある」と話す。
「EX60」で本格採用へ
ボルボ・カーズでは近く発売する電気自動車「EX60 SUV」の一部部材として用いるほか、「次世代SPA3車台アーキテクチャ」による他モデルにも順次採用する計画だ。
SSABの再生鋼は自社製造工程でCO₂排出量をほぼ100%削減し、再生材の含有率はほぼ100%という。ボルボ・カーズは2040年までに温室効果ガス排出量ネットゼロをめざしており、このため2030年までに、2018年を基準年として車両1台あたりのCO₂排出量を65~75%削減する目標を掲げている。SSABとの今回の合意で、こうした取り組みを加速させ、2030年までに車両全体で30%の再生材使用を図るとともに、2030年以降に発売される新車モデルには少なくとも35%の再生材またはバイオベースの素材を含むことをめざしている。(2025年6月13日)