• 2025-08-22

メルセデス・ベンツ、廃車の「都市鉱山プロジェクト」を開始

Focus on circularity

メルセデス・ベンツは21日、リサイクル企業のTSRグループと組んで使用済み車両から高品質な二次原料を回収し新車に再利用する、「都市鉱山プロジェクト」を開始する、と発表した。同社は2039年までに法人向けの新車を温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするネットカーボンニュートラルとすることをめざしており、その体制整備のひとつと位置づけている。自動車メーカーが廃車回収から部材の再利用を一元管理し循環型バリューチェーンを本格構築するのは初めてとなる。

メルセデス・ベンツとTSRグループは2024年にパートナーシップを結んでおり、今回新たに使用済み車両の持続可能な循環型経済の実現をめざすという。「都市鉱山パイロットプロジェクト」と名づけ、ドイツ北部で廃車回収拠点を設け、再利用できる体制を整備する。近くプロジェクトを開始する。

TSRはメルセデス・ベンツ車に限らず廃車を受け入れ、解体。汚染物質と区分し回収した部品をTSRグループ独自のリサイクル法で処理し、鋼アルミニウム、プラスチック、銅、ガラスなどの種類別に材料サプライヤーを通じて生産サイクルに再統合する。

メルセデス・ベンツ・グループの技術責任者で開発・調達担当のマークス・シェーファーAG取締役は「持続可能なモビリティのビジョンを実現するためには、車両における一次原材料の使用を大幅に削減する必要がある。都市鉱山は、貴重な材料を資源効率的に循環させる機会を提供する。パートナーとともに、今後数年間で二次原材料の使用割合を継続的に増やす」と話している。

メルセデス・ベンツでは、今回の取り組みで持続可能な原材料の供給体制づくりをめざす考えだ。産業サイクルのフィードバック制御を通じて、材料の効率的な再利用に道筋をつける狙いもある。同社は「Ambition 2039」として、バリューチェーン全体、そして車両のライフサイクル全体で新車フリートのネットカーボンニュートラル達成をめざしている。今後10 年間で自動車に使用する二次原材料の割合を 40% に引き上げる計画だ。(2025年8月22日)