• 2025-09-01

メルセデス・ベンツ、デュッセルドルフ工場に“ロボドッグ”「アリス」を導入

デュッセルドルフ工場に動物を模した支援ロボット「アリス」を導入

メルセデス・ベンツは29日、ドイツ・デュッセルドルフにあるバン工場で、動物を模した自律型支援ロボット「アリス」を導入した、と発表した。同工場では従来からデジタル化戦略を推進しており、今回のロボドッグ投入は、エネルギーコスト削減とシステム障害の未然防止に向けた新たな取り組みとなる。

「アリス」は圧縮空気漏れや異常音を検知する音響イメージング機能を備え、潜在的な不具合を早期に把握して修理を可能にする。これにより漏洩によるエネルギー損失の約6割を防ぎ、年間で6ケタ規模のコスト削減が見込まれる。また、非稼働時間帯に修理を集中させることで生産ラインの稼働率を維持し、システム故障による停止リスクを軽減できると説明している。

さらに「アリス」は階段を登る能力を持ち、工場内を完全自律で移動可能という。今後は避難経路の点検やデジタルツインの作成など、幅広い業務への活用も期待されている。

同工場ではロボドッグに加え、自律型ドローンも導入。空コンテナの計数業務をAI搭載のドローンが担うことで、従業員は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになる。両ロボットはクラウドアプリケーションに統合され、将来的には工場間を超えた相互連携も可能とされる。

デュッセルドルフ工場は約325,000平方メートルの敷地を持ち、5,500人が勤務する欧州有数の生産拠点。スプリンターやeスプリンターを生産する同工場は、伝統と最先端技術を併せ持つ存在として地域経済を支えてきた。今回のロボット導入は、メルセデス・ベンツ・バンズがデジタル未来へ踏み出す大きな一歩となりそうだ。(2025年8月31日)