• 2025-09-26
Charleston Plant

ボルボ・カーズは23日、米サウスカロライナ州リッジビル工場への投資を拡大し数年内のフル稼働をめざす、と発表した。同社は過去10年間で累計13億ドルを投じており、電動化と地域別需要への対応を強化してきた。現在の年産能力は15万台で、電動SUV「EX90」と「ポールスター3」を生産している。

今回の追加投資は、米国市場の需要拡大に加え、輸入車への高関税措置、いわゆる「トランプ関税」へのリスク回避という意味合いも持つ。ボルボはこれまで欧州や中国工場に依存してきたが、現地生産の比率を高めることでコスト圧力を抑え、サプライチェーンの安定性を確保する狙いがある。2026年末以降には米国販売の柱である中型SUV「XC60」をリッジビルで生産する計画で、同モデルは2025年1~8月期に前年同期比20%増の2万7,000台超を販売している。

ホーカン・サミュエルソンCEOは「米国市場とサウスカロライナ州への長期的なコミットメントを示すものだ。今年で米国進出70周年を迎え、累計販売は500万台を超えた」と述べ、現地生産シフトの重要性を強調した。マクマスター州知事も「投資は当州の自動車製造の競争力を裏付ける」と歓迎した。

ボルボは2015年に同工場を起工。複数プラットフォームに対応する先進拠点として拡張を続けており、2030年までに次世代ハイブリッド車の投入を予定している。米州社長ルイス・レゼンデ氏は「新モデル導入により現地の潜在力を最大限引き出し、商業目標達成を加速させる」と述べた。

輸入車への関税強化が続く中、ボルボの米国工場強化は「関税回避」と「市場拡大」を両立させる戦略的布石と位置づけられる。(2025年9月24日)