
BMWグループは9月29日、ハンガリー・デブレツェンにおける最新鋭工場の開所式を行い、正式にお披露目した。再エネ100%・第6世代バッテリーの生産設備を併設する、ノイエ・クラッセ戦略の中核拠点となる。
10月下旬に「iX3」の量産スタート
新工場は通常稼働時に再生可能エネルギー由来の電力のみを使用する、BMW初の完全電気化工場で、敷地内には第6世代(Gen6)高電圧バッテリー生産施設を併設。10月下旬には「ノイエ・クラッセ」第1号モデルとなる新型BMW iX3の量産が始まる予定だ。ジプセ取締役会議長は「化石燃料を一切使用しない初の拠点として、グループの将来の成功を決定づける要素になる」と強調した。
この新拠点は2,000人超の直接雇用を創出し、地域サプライヤーやサービス業への波及効果も大きい。加えて、デブレツェン大学などと連携した人材育成プログラムを展開し、同国最大級のデュアル教育研修拠点の役割も担う。産業基盤と教育の両面で地域社会に根差した存在として位置づけられる。
生産面では、米国スパルタンバーグや英国スウィンドンのノウハウを取り入れつつ、約1,000台のロボットを導入したボディショップをデジタル設計。接合工程の大幅削減などにより、生産効率と柔軟性を高めた。これによりBMW iFACTORYの理念に沿った「デジタル化・持続可能性・柔軟性」のモデル工場となる。
今回の開業は、欧州における生産基盤強化と脱炭素戦略の象徴であると同時に、投資家にとっては電動化移行の実行力を示すシグナルとなる。ノイエ・クラッセ量産の起点となる同工場が、BMWの長期的な競争力と収益基盤を支えるか、注目を集めてもいる。(2025年9月30日)