
メルセデス・ベンツ・グループは29日、2025年7~9月期(第3四半期)の決算を発表した。調整後営業利益(EBIT)は20億9900万ユーロ(3,713億円)と前年同期比17%減。中国市場での販売環境悪化や関税負担の増加、為替変動が響いた。売上高は321億4700万ユーロ(5兆6,868億円)で前年同期から6.9%減少した。
産業事業のフリーキャッシュフローは13億6700万ユーロ(2,418億円)と前年の約6割にとどまったが、9カ月累計では55億8900万ユーロ(9,887億円)を確保。純流動性は前年同期比で4億ユーロ増の323億ユーロ(5兆7,138億円)に達した。ケレニウス最高経営責任者(CEO)は「新型CLAとGLCを皮切りに最大規模の製品・技術投入が進展している」と述べ、通期ガイダンスの維持を表明した。
部門別では、乗用車部門の調整後営業利益率が4.8%(前年同期4.7%)とほぼ横ばい。販売台数は12%減の44万台だったが、米国では年初来で6%増を確保し、高級車セグメントでは中国で13%増加した。バッテリーEV(BEV)は新型CLA投入効果で前期比22%増えた。
バン部門は販売減を背景に減益ながら、調整後営業利益率10.2%と高水準を維持。電動バン販売は前年の約2倍となり、欧州では全体の14%を占めた。金融・リース事業を担うモビリティ部門は調整後自己資本利益率(ROE)が9.6%に上昇し、効率化施策とポートフォリオ改善が寄与した。
通期見通しでは、グループ全体の販売は前年を下回るが、xEV(電動車)比率は乗用車で20~22%、バンで8~10%に拡大する見込み。営業利益率は乗用車4~6%、バン8~10%、モビリティ8~9%を想定している。同社は今後12カ月で最大20億ユーロの自社株買いを実施する方針も明らかにした。(2025年10月29日)