
BMWグループは5日、2025年第3四半期決算(7-9月)で、税引前利益(EBT)が前年同期に比べ2.7倍となる23億2,900万ユーロ(4,044億円)となったと明らかにした。販売増と為替差益が寄与し、グループEBTマージンは7.2%(前年同期2.6%)へと改善した。
欧米市場が牽引、中国はマイナス続く
グループ全体の販売台数は前年同期比8.7%増の58万8,140台。地域別では欧州が9%増、米州が24%増と堅調で、中国を含むアジアは横ばいにとどまった。中国では価格競争の激化と銀行手数料削減の影響で販売目標を達成できず、1〜9月期の販売は前年同期比11.2%減の46万5,000台に落ち込んだ。
EV比率は18% MINIが牽引
電動化モデル(BEV・PHEV)の販売は計47万台(前年同期比15%増)で、全体の26.2%を占めた。BEV比率は18.0%と前年の16.8%から上昇した。ブランド別ではMINIが全面改良効果で世界販売を24%伸ばし、BEV販売は前年の2.6万台から7.3万台へと約2.8倍に増加した。ロールス・ロイスも新型「スペクター」などが好調で、販売台数は13%増となった。
関税で自動車部門の利益圧迫も
自動車部門の売上高は同2.4%増の285億ユーロ(4兆9,496億円)と堅調だったが、米国での追加関税やEUによる中国製EVへの反補助金関税が重荷となり、EBITマージンを約1.75ポイント押し下げた。それでも部門の営業利益は同2.3倍の14億9,400万ユーロ(2兆2,016億円)に拡大し、EBITマージンは5.2%と年初予想レンジ(5〜7%)内を確保した。研究開発費は前年同期比22%減の19億ユーロ(2,805億円)に抑制された。
金融サービス部門の新規契約件数は12.1%増の45万件と好調。税引前利益は同3.2%減の6億4,400万ユーロ(951億円)で、リース車再販収入の減少が響いたが全体として堅調に推移した。
通期見通しを下方修正 中国市場を警戒
BMWは10月7日に2025年通期見通しを調整。中国市場の販売目標を引き下げたうえで、欧米の新型5シリーズや新型X3などの投入による世界販売の「わずかな増加」を見込んでいる。関税の影響で自動車部門のEBITマージンは年間で約1.5ポイント減少する見通しとした。同社は「世界的な不確実性が高まるなかでも、柔軟な事業運営とコスト規律で通年目標を達成する」としている。(2025年11月5日)