• 2025-12-11

シトロエン、超小型EVコンセプト「ELO」発表 “走る生活空間”で次世代モビリティ像を提示

仏シトロエンは9日、次世代EVの設計思想を示す新コンセプトカー「ELO(エロ)」を公開した。小型EV向けの電動専用アーキテクチャーを基盤に、全長4.10メートルの車体で最大6人が乗れる居住性と高いモジュール性を実現。移動・休息・レジャー・テレワークといった多様な生活行動を1台で完結させる「走るリビング空間」として提案する。r来年1月に開催するブリュッセル・モーターショーで世界初披露する。

ELOは2022年のコンセプト「OLI」に続く“アイデアの実験室”として位置付けられ、シトロエンが歴史的に培ってきた使い勝手・快適性・革新性を再定義する役割を担う。リアアクスルにモーターを据えた専用EV構造を採用することで外寸を抑え、室内空間の拡大とフロアのフラット化を徹底。標準4座に加え、必要時は補助席を展開し6座へ変化する。運転席を中央配置とし、180度の広角ウインドシールドと360度回転機能を持たせるなど、車内の自由度を重視した。

同社はELOのコンセプトを「REST・PLAY・WORK」と定義する。シートアレンジによって就寝スペースや簡易シアタールーム、テレワーク空間にも変化させられるほか、車内外で過ごす時間を拡張する各種収納や電源供給機能も備える。移動時間が日常生活に組み込まれる現代に合わせ、「使える時間」を増やすモビリティ像を示した格好だ。

素材開発ではスポーツ用品大手のデカトロン、タイヤのグッドイヤーと協業。アウトドア利用に耐える軽量素材やリサイクル材を積極採用し、スマートタイヤにはリアルタイムで空気圧や摩耗を監視するセンシング技術を盛り込んだ。環境配慮と実用性の両立を狙う。

シトロエンのザビエ・シャルドン社長は「ELOは革新性・創造性・アクセシビリティというブランドDNAを最もよく表す」と述べ、フォーミュラE参入や新型車投入を進める同社の未来戦略の象徴と位置付けた。スタイル責任者のピエール・ルクレール氏も「デザインと機能を融合した生活者視点の提案」と評価しており、欧州市場を中心にEVシフトが進む中で“生活価値”を軸とした差別化に踏み込んだ形だ。(2025年12月10日)