EVメーカーのポールスターは19日、総額6億ドル、日本円で940億円に及ぶ資本強化策を発表した。欧州の金融機関2社から計3億ドル(470億円)の株式投資を受けるとともに、筆頭株主である中国・吉利系が保有する約3億ドルの債権を株式に転換する。
新たな株式投資は、スペインの大手銀行ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria)と、フランスの投資銀行ナティクシス(Natixis)が、それぞれ1億5,000万ドルずつ拠出する。両行は同時に、3年後に一定のリターンを条件として保有株式を売却できるプットオプションを、吉利スウェーデン・ホールディングスの完全子会社との間で設定した。
あわせて吉利スウェーデン・ホールディングスは、2023年11月に締結した融資契約に基づき、ポールスターが負う元利金約3億ドルを株式に転換することで合意した。規制当局の承認を経て完了する見通しだ。
ロッシュラー最高経営責任者(CEO)は「今回の取引により流動性が大幅に改善し、バランスシートが強化される。吉利ホールディングスの継続的な支援と、当社のビジョンへの信頼に感謝したい」とコメントした。
株式の発行価格は、直近3カ月間の出来高加重平均株価を基準とした1株19.34ドル。取引完了後も、今回参加した金融機関が単独で10%を超える持ち株比率を保有することはない。規制当局の承認を要しない増資部分は12月23日までに完了する予定で、財務アドバイザーはバンク・オブ・アメリカ証券(BofA Securities)が務める。
EV市場の競争激化と資金調達環境の引き締まりが続くなか、ポールスターは大株主による債務株式化と金融機関の資本参加を組み合わせ、事業継続と成長投資に向けた財務の安定を急ぐ。(2025年12月23日)