• 2026-02-18

トラトンとWWF、商用車業界の「自然リスク」研究を公表

EV時代の資源・生態系課題に警鐘、3年間の共同枠組みも始動

独商用車大手トラトン・グループと世界自然保護基金(WWF)スウェーデンは17日、商用車産業と自然環境の関係を分析した共同研究「温室効果ガス排出量を超えて―商用車セクターと自然の相互連関」を公表した。両者は同時に、生物多様性や資源利用、水管理、循環型経済をテーマとする3年間のパートナーシップを立ち上げ、自然関連リスクへの対応を加速させる方針だ。今回の研究は、脱炭素の進展に伴い自動車産業の環境課題が温室効果ガス排出削減から「自然資本」へ広がっている現状を整理した点が特徴で、商用車業界としては先駆的な試みと位置付けられる。

報告書は、商用車産業が自然資源に大きく依存する一方、資源採掘や土地利用変化、廃棄物問題などを通じて自然環境へ影響を及ぼしていると指摘する。とくに電動化の進展に伴うバッテリー材料需要の拡大は、リチウムやニッケル、希土類などの採掘増加を招き、生態系への負荷を高める可能性がある。こうした資源需要は再生可能エネルギーなど他産業とも競合しており、産業横断での持続可能な資源管理が不可欠だと分析している。

研究は、自然リスク低減に向けた具体策として以下の方向性を提示した。①持続可能な調達の強化:環境・地域社会への影響を考慮したサプライヤー選定②循環型経済の推進:リサイクル拡大による廃棄物・資源消費の削減③材料・設計革新:希少資源への依存低減④バリューチェーン連携:企業・政策・社会の協働による実効性確保⁻-。

WWFスウェーデンのマツ・ランデン上級マネージャーは「自然喪失は企業にとって現実の経営リスクであり、対応はサプライチェーンの強靭化や新市場創出にもつながる」と指摘する。トラトンのアンドレアス・フォラー最高サステナビリティ責任者も「電動化を真に持続可能なものにするには業界全体のリーダーシップと協力が不可欠だ」と強調した。

自動車業界ではこれまで脱炭素が環境戦略の中心だったが、近年は生物多様性や資源循環といった自然資本への対応が新たなテーマとして浮上している。とくに商用車は大型電池や重量車体のため資源消費が大きく、自然関連リスク管理が競争力に直結する可能性がある。今回の研究は、電動化時代の次の環境課題を提示したものといえ、サプライチェーンの透明化や資源確保戦略の再設計が今後の業界動向を左右する可能性がある。(2026年2月18日)