• 2026-02-27

VW、EV累計販売200万台を突破

欧州主導の電動化競争、量産段階から「大衆化フェーズ」へ

フォルクスワーゲン(VW)は27日、同社ブランドの電気自動車(EV)の累計販売台数が200万台に到達した、と発表した。記念車両は独ツヴィッカウ工場で生産された「ID.3」で、ドレスデンのトランスペアレント・ファクトリーで顧客へ引き渡された。欧州最大の自動車メーカーによるこの節目は、電動化が実験段階を終え、本格的な量産・普及フェーズに入ったことを示す象徴的な出来事といえそうだ。

VWは2013年に小型EV「e-up!」を投入して電動化に参入し、その後、専用EVプラットフォーム「MEB」を軸にラインアップを急速に拡大してきた。今回の200万台には現行のIDシリーズに加え、e-Golfなど初期モデルも含まれる。同社は現在、ドイツおよび欧州のバッテリー電気自動車(BEV)市場で主導的な販売規模を確立しており、世界でも有数のEV量産メーカーの一角を占める。

販売・マーケティング担当取締役のマルティン・ザンダー氏は、早期から電動化へ投資してきたことが現在の競争力につながっていると強調し、欧州市場での強固なポジションが電動ラインアップの魅力を裏付けているとの認識を示した。

200万台達成を支えたのは、量販EVとして市場を切り開いたID.3、世界市場で販売拡大を牽引したSUVのID.4、そして長距離性能を武器に上級セグメントへ電動化を広げたID.7だ。とくにID.4は欧州に加え中国や米国でも販売の柱となり、VWが地域依存を脱してEV事業をグローバル化する転機となった。

今回の節目が示す意味は小さくない。テスラや中国勢が主導してきたEV市場において、伝統的な量販メーカーが数百万台規模の電動車供給体制を確立したことは、自動車産業全体の構造転換が不可逆的な段階に入ったことを意味する。内燃機関車からEVへの移行が政策主導から産業競争の主戦場へ移ったことを、VWの販売実績が裏付けた格好だ。

同社は次の成長段階として、小型・コンパクトセグメントへのEV投入を加速する。2026年には新型小型EV群を順次導入する計画で、量産目前の「ID. Polo」はその象徴的モデルと位置付けられる。価格競争力を備えた小型EVを拡充することで、電動化を一部の先進ユーザーから大衆市場へ広げる狙いがある。

記念車両が納車されたドレスデン拠点は現在、生産拠点からブランド体験施設へと役割を転換しており、EV試乗や車両引き渡しを通じた顧客体験強化の拠点となっている。2025年には約3500台が同施設で納車され、その9割以上がEVまたはハイブリッド車だった。一方、ツヴィッカウ工場では2025年に約21万台のEVが生産され、VWの電動化戦略を支える中核拠点となっている。

欧州ではEV需要の成長鈍化や補助金縮小が議論される一方、メーカー間競争は価格帯と商品力へと軸足を移しつつある。VWの200万台達成は、EVがもはや新技術ではなく量販産業として成立し始めたことを示す指標であり、今後の競争が「どれだけ売れるか」から「誰が大衆市場を制するか」へ移行したことを業界に強く印象づける節目となった。(2026年2月27日)