
欧州連合(EU)と中国政府は9日、中国からEUへのハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の輸出を抑制することで合意した。拡大する貿易不均衡の是正に向けた協議の一環で、欧州製品の中国市場へのアクセス改善や、レアアース(希土類)と永久磁石の輸出許可手続きの円滑化についても共通認識に達した。
合意は、8~9日に北京で開かれた第2回EU・中国貿易投資協議で取りまとめた。欧州委員会のマロシュ・シェフチョビチ通商・経済安全保障担当委員と、中国の王文濤商務相が協議し、共同声明を発表した。声明では、双方が世界貿易機関(WTO)のルールに適合する形でハイブリッド車の貿易について合意したと明記した。
シェフチョビチ委員は協議後の記者会見で、今回の合意により、中国からEUへのHV・PHEV輸出を今後4年間で数百万台抑制できるとの見通しを示した。「半分以下」への削減効果は、対策を講じない場合の将来の輸出予測と比較したもので、現在の輸出台数を半減するという意味ではない。
具体的な実施方法や数量などは公表せず、EU首脳による評価と了承を経て手続きを進めると説明した。
貿易不均衡の是正では、自動車部品など一部のEU製品について、中国の最恵国待遇(MFN)税率の引き下げを通じ、市場アクセスを改善することでも合意した。レアアースと永久磁石については、中国が迅速審査の仕組みを通じてEU向け輸出許可の円滑化を継続し、産業の供給網の予見可能性と安定性を高める方針を確認した。
一方、バッテリー電気自動車(BEV)の補助金を巡る問題では、企業による輸出価格の約束と見直しに関する手続きを継続する。共同声明は、今回の合意によるBEVへの相殺関税の撤廃を示していない。双方は2027年1月に閣僚級のオンライン会議を開き、3月に第3回貿易投資協議を開催する予定だ。
ACEA、貿易摩擦緩和への一歩と評価
欧州自動車工業会(ACEA)は9日、今回の暫定合意について、詳細を精査する必要があるとしながらも、EUと中国の貿易摩擦を和らげる前向きな一歩として歓迎した。ACEAによると、欧州の各市場における中国ブランドの販売シェアは、2026年上半期にHVで14%、PHEVで25%となった。いずれも2024年の2%から急拡大しており、同会は中国からの急激な輸入増加が欧州の自動車市場を不安定にしていると指摘した。
シグリッド・デフリース事務局長は、欧州市場の急激な混乱や、中国市場と同様の価格競争が広がれば、欧州経済全体に大きな影響を及ぼすと警戒。そのうえで、今回の合意は、中国メーカーが欧州市場で事業を拡大する過程を秩序あるものとし、関係者すべての長期的な利益につながるとの考えを示した。ACEAは、乗用車以外にも、バスやトラックなどの分野で輸入が市場に与える影響について、引き続き対応が必要だとしている。
(2026年10月11日)