BASFは17日、自動車の車体色トレンド「2024-2025 Automotive Color Trends」を発表した。今年は、濃い紫の色合いの新しい赤を特長に、暗くて青みがかった赤からのシフトだという。欧州や中東・アフリカのEMEA地区のほかアジア太平洋、アメリカ大陸の3地区で異なるトレンド色を提示した。同社では今後3~5年以内の市販車に採用されそう、と話す。
今年のテーマは「ルーティング」
これはBASFのコーティングス事業本部のデザイナーが毎年、発表しているもので、今年のテーマは「ROUTING(ルーティング)」。情報がどのように伝達されるかを示す通信技術における「ルーティング」の概念を指す。
今年は、濃い紫の色合いの新しい赤とし従来の暗くて青みがかった赤からシフトした。ダークな無彩色は、強烈なカラーエフェクトで活性化され、ソリッドブラックを超えたダイナミズムを提供しているという。また、ファインメタリック効果は表面を強調し新たな輝きを与え、パステルカラーのスペクトルは、たとえば、すでに市場に出回っているベージュやライトグリーンの色調、珍しい中間色など多様化を示した。同社では「サステナビリティ」と「機能性」を今年のテーマと位置づけ、再生可能なリサイクル、バイオベースの素材を使用して開発した。自動運転など自動車の新たなニーズに応えるセンサーベースの運転システム用に最適化されているという。
BASFのオートモーティブカラーデザインのグローバルヘッドであるマーク・グートヤール氏は「私たちのトレンド観察では、人間または人間以外の知能による情報の伝達方法と取り扱い方法が、トレンド開発の強力な推進力であると特定した」と述べ、「コミュニケーションは生き生きとしていて、常に変化し、お互いを受容してくれる。それは色のようなものだ」と指摘した。
EMEAのHARBINGER’S INK – 持続可能性に照らされた深い黒の色合い
EMEAでは、天然資源は有限であるという認識に基づき、HARBINGER’S INKが強力なキーカラーとして浮かび上がった。他に類を見ない独特のスパークル効果を持つこの強いブラックカラーは、カーボンネガティブ成分と再生可能成分の組み合わせ、および生分解性顔料の組み合わせによって強化されている。「HARBINGER’S INK は、環境への責任を自動車デザインに決定的に統合したもの」とグートヤール氏は説明する。
アジア太平洋地域のシンチレーション – メタリックでサステナブルなコンセプトを新たな道へ
シンチレーションは、斬新な低排出ベースコート技術によってデザインされたスマートで温かみのあるグレーと液体金属の効果で、アジア太平洋地域で際立つトレンドという。人間と非人間の知能との間の将来の親和性を暗示し、ハイエンド車両のブランド価値とその品質と持続可能性を高める。「シンチレーションは、洗練されながらも先進的なデザインを求めるこの地域の意欲を捉えている」と、アジア太平洋地域のオートモーティブカラーデザイン責任者である松原千春氏は話す。「これは、技術の進歩と永続的な価値の両方に共鳴する高品質で持続可能な自動車ソリューションの創出というこの地域の焦点と一致している」と説明する。
アメリカ大陸での影響力の保持 – 二重の色相が1つとして合成されているように見える
南北アメリカはHOLDING SWAY。二重の色相と協調的なエネルギーの融合を意味する。強い青みがかったシフト効果を持つ濃い紫の色合いが特長だ。南北アメリカのリードカラーデザイナーである李ジー・マリー氏は「社会のさまざまな側面で、多様な影響が集まり、製品の革新的なソリューションを生み出す。つながりを生み出し対立するものを橋渡しすることで、人々が消費しコミュニケーションを取り、モビリティを体験する方法に新たな機会と空間が生まれる」と話し、「HOLDING SWAYには、透明で協調的なエネルギーが融合して革新的な道筋を形成する価値が象徴されている」と解説する。(2024年10月17日)