S&Pグローバル・モビリティによると、2025年の世界の新車販売台数は前年比1.6%増の8,960万台になると見込んでいる。なかでも、電気自動車(BEV)の販売台数は30%増加し、そのシェアは2024年の13.2%から16.7%になると予想。これにより、BEVの保有台数は2024年推定の1,160万台から1,510万台に増える見通しだ。
2025年の世界の新車販売台数を8,960万台と予測
S&Pグローバル・モビリティが昨年12月20日に発表した。世界の自動車市場を「慎重な回復成長」になると予測し、なかでも米国での政策シフトの影響をはじめ金利やBEV普及率への影響が大きくなると見通した。これらにより、同社は2025年の世界の新車販売台数は前年比1.6%増の8,960万台と予想した。
S&Pグローバル・モビリティのグローバル小型車予測担当エグゼクティブ・ディレクターのコリン・カウチマン氏は「2025年は自動車業界にとって非常に厳しい年になる。主要地域の需要要因が需要の潜在力を制限し、米国の新政権が初日から新たな不確実性を加えるからだ」と述べ、「特に懸念されるのは、政府が政策支援、インセンティブや補助金、産業政策、関税、急速に進化するOEMの目標設定を見直す中で、EVの需要がどの程度『自然』に推移するかということ」と指摘した。
同社では、2024年の世界の自動車販売台数を前年比1.7%増の8,820万台と予想している。サプライチェーンがより安定化し、年間を通じて供給が保たれたことで2023年比で1.7%増とした。
市場別、欧米中は1%台の低成長予想
市場別では、欧州の2024年の販売台数は1,500万台弱(前年比1.1%増)にとどまる見通し。2025年には、「厳しい排出ガス規制が市場の構成と売上高にさらに影響を及ぼすため、この傾向はさらに強まる」(同社)と予測し、関税やドイツとフランスの政治的不確実性を反映し、市場は前年比0.1%増の1,500万台前後で横ばいになると予想した。前述のカウチマン氏は「主な課題には、ダイナミックな電動化ストーリー、EUによる中国本土からの輸入車への関税、トランプ関税リスク、躊躇する消費者、新たな欧州委員会、EUの排出ガス目標に関する活発なロビー活動などがある」という。
米国の2025年の販売台数は前年見込み比1.2%増の1,620万台と予測した。トランプ次期政権の政策が不透明で、その不確実性から2025年は不安を抱える消費者の存在と相まって、自動車販売の成長見通しは緩やかなものになる、としている。
中国は、2024年に新エネルギー車(NEV)優遇策の1,300億元の延長と、750億元の新しい下取り制度の組み合わせで、少なくとも2,580万台(前年比1.4%増)に回復すると推定。2025年は、景気低迷のなかでもNEVや下取り制度、地方政府の自動車優遇策などとともに、車両値引き競争で引き続き需要を刺激し、総市場は2,660万台と2024年見込み比3.0%増を見込んだ。
日本は5.4%増を予想
日本は、ダイハツの排ガス不正問題による出荷停止が響き落ち込んだ2024年実績から回復する、と見通した。2025年の新車販売台数は460万台とし、2024年見込みの440万台を下回る水準から5.4%増加すると予測した。米国の関税や世界経済のファンダメンタルズの弱体化は、とくに北米への自動車輸出が主軸の日本にとっては問題をはらむ可能性を指摘しつつも、米国でのBEVの成長鈍化が日本業界にとっては反対に明るい兆しとなる可能性もある、という。
電動化に対する消費者の不安、特に欧州と米国における障害
2024年、多くの自動車メーカーが今後5年から15年間にめざしていた電動化計画を相次ぎ修正している。しかし、こうした「悲観的な見通しにもかかわらず、電気自動車は依然として重要な自動車成長分野」と同社は指摘し、2025年のBEV乗用車の世界の販売台数は1,510万台、2024年見込み比で30%増と予想した。これは、世界の小型車販売の16.7%を占めると予測、2024年の1,160万台、市場シェア13.2%から伸びるとの見通しだ。S&Pグローバル・モビリティは、「この大半は主要市場での販売台数だが、小規模市場でも緩やかな増加が見込まれる」としている。(2025年1月6日)