
インドのタタ・モーターズの2025年度第2四半期(7~9月期)決算は、主力の商用車(CV)部門がボリューム増と価格改善で収益性を押し上げ、売上高は前年同期比6.6%増の1兆8,370億ルピー(3兆494億円)に増えた。EBITDAは21%増の2,200億ルピー(3,652億円)、営業利益率(EBIT)は9.8%と2ポイント上昇した。四半期の税引前利益は1,694億ルピー(2,812億円)と前年から469億ルピー(778億円)伸びた。
商用車の販売が12%増、収益性とキャッシュ創出力が大幅改善
13日に発表した。CV部門の卸売台数は9万6,800台と12%増加。国内販売が9%増、輸出は75%増と海外需要が一段と強まった。HGV(大型)とHMV(中大型)では市場シェア47.2%を確保し、セグメント各分野で堅調に推移した。FCF(フリーキャッシュフロー)は2,211億ルピーと前年同期比で1,227億ルピー増え、事業として過去最高のH1 FCFを達成。国内事業のネットデットは600億ルピーに低下し、財務基盤も改善した。利益率改善は、製品構成の最適化と価格戦略、非景気循環型事業の拡大が寄与した。経営陣はこれによりROCE(使用資本利益率)が前年の37%から45%へ上昇したと説明した。
連結決算は市場変動の影響で減益
連結売上高は6%増の1兆8,600億ルピー、EBITDAマージンは11.4%へ改善した。一方、タタ・キャピタル上場に伴う株式価値のマークトゥーマーケット(MtM)損失が約2,000億ルピー発生し、PBT(bei)はマイナス600億ルピー、純利益もマイナス900億ルピーとなった。
それでも同社はネットキャッシュ1,200億ルピーを維持し、財務の健全性は損なわれていないとした。
デマーター後の初決算、IVECO買収も進展
10月1日付で商用車部門のデメルガー(分社化)を完了し、新会社は「Tata Motors Limited」として12日にBSE/NSEへ上場した。CEOのギリシュ・ワーグ氏は「インフラ、建設、鉱山向け需要が下期も追い風となり、好調なモメンタムが続く」と述べた。同社が7月に発表した伊IVECOの買収計画も規制当局の承認手続きが進行しており、2026年4月の完了を目指す。電動化でも前進しており、Ace Pro EVは発売4カ月で1,300台を販売。EV長距離バスではGreen Energy Mobility Solutionsと100台の納入で基本合意した。
同社は「GST 2.0」の効果浸透、祭礼シーズンによる需要回復、建設・インフラ投資の継続を背景に、FY26下期に強い成長を見込む。今後も二桁のEBITDAマージンと高いROCEを維持し、「持続的な利益成長を目指す」としている。(2025年11月17日)