フォードモーターのビル・フォード会長は16日、ウェブ会見を開き、UAWのストライキが長期化しているのに対しUAW側に異例の形で協力を呼び掛けた。UAWは先週11日、全米で最大の自動車組み立て工場のフォード「ケンタッキー・トラック工場」でのストを事前通告なしで決行し、活動を先鋭化している。

ビル・フォード会長は、２つの世界大戦やパンデミックなどを例にあげ米国の自動車産業が過去の難局を乗り越えることができたのは労使や産業界全体が協力し合ってきたからだと指摘し、ストを拡大するUAWに協力を呼び掛けた。「トヨタやホンダ、テスラそして中国メーカー」とライバルの名をあげて、「フォードとUAWが対立するのではなく、ともに競う相手は別にいる」と話した。

UAWは9月15日以後、全米で5カ所の組み立て工場のほか部品工場や物流施設でもストを行っている。11日からは、全米でも最大の自動車工場といわれるフォードのケンタッキー工場でＵＡＷの組合員約9千人が参加しストを決行した。同工場では、フォードの主力車種であるトラック「Ｆシリーズ」のほか「リンカーントラック／ナビゲーター」を生産している。