フォード・モーターは21日、ミシガン州に新設するバッテリー工場の生産規模を約35GWhから約20GWhに4割縮小するなど建設計画を見直す、と発表した。同社はケンタッキー州にある別のBEV用バッテリー工場の建設も延期する予定で、EV需要の鈍化に合わせ投資を抑制するとともにUAWとの賃金交渉で大きく上昇した人件費増に対応する狙いだ。
同社はミシガン州でリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー工場を建設し、2026年から約35GWh規模で生産開始する計画を打ち出していた。CATLが協力し、フォードは50億ドル以上を投じ、また2500人の新たな雇用を見込んでいた。「ムスタング・マッハE」など強化するBEV商品に供給していく予定だ。
今回、フォードは「成長と価値創造のためのフォード+計画に沿ってマーシャル・プロジェクトを進める」としながらも、「投資と成長、収益性のバランスを考慮し規模を縮小している」とし、従業員数で当初計画の2500人から1700人以上に引き下げ、生産能力も約40GWhから約20GWhに修正したことを明らかにした。
ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)やビル・フォード会長を含むフォード幹部は当初、2月にこの施設を発表した。中国のバッテリーメーカー、コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー社(CATL)との関係から、すぐに政治的な標的となった。この工場はフォードの完全子会社だが、米自動車メーカーはリン酸鉄リチウム(LFP)と呼ばれるEV用の新型バッテリーを生産するため、CATLから技術供与を受けている。現地報道では、投資額もこれに合わせて減額され当初の50億ドルから20億ドル程度にとどまるとの見通しを報じている。