
税控除期限の駆け込み需要を受けて、2025年7~9月期(第3四半期)の米国自動車市場は大きく前年実績を上回った。GMや現代自動車が四半期で過去最高を更新したほか、フォードも電動車販売で新記録をマークした。現地報道によると、GMとフォードは税控除対象外となる10月以後も、インセンティブを上積みするなど特別施策を打ち出し、反動による需要減へ対応を図っている。米市場はSUVやピックアップ需要の堅調さと電動車の拡大を背景に主要メーカー各社が軒並み前年を上回った。
10月以後の反動減への対応に注目
ゼネラル・モーターズ(GM)は販売が8%増、EV販売が6万6,501台と四半期で過去最高を更新し、フルサイズSUV・ピックアップの強さと合わせて存在感を示した。フォードは販売が8.2%増の54万5,522台となり、電動車販売は8万5,789台で過去最高を記録、EV「マスタング・マッハE」や「F-150ライトニング」が好調で、商用部門の有料ソフト契約も大幅に増えた。
トヨタは販売62万9,137台と15.9%増、電動車は28万2,794台で全体の44.9%を占め、RAV4など主力車の堅調さに加え、ハイブリッドを含む多様な電動化戦略が奏功した。日産は22万3,377台で5.3%増、MuranoやKicksなどSUVが好調だった一方、LEAFは▲84%と大幅減に沈み、新型モデルを低価格で投入し税控除終了後の需要を狙う。
現代自動車は23万9,069台と13%増で過去最高を更新、IONIQ 5が牽引し、税控除終了に対応して最大9,800ドルの値下げや現金インセンティブを打ち出すなど、自社負担で競争力維持に動いた。米国のEV市場はこれまで税控除に支えられてきたが、その終了を境に価格競争力やブランド力が真価を問われる段階に入り、各社の戦略が鮮明になっている。(2025年10月2日)