
主要自動車メーカー合弁によるEV充電ネットワーク会社のIONNAは20日、カリフォルニア州で今後3年間に2億5,000万ドル(約390億円)超を投じ、急速充電網の整備を加速する、と発表した。州内ではすでに1,000基超の充電ベイを契約済みで、全米では4,000基超を確保。うち1,100基以上が稼働または建設段階にある。
Plug & Charge対応拡大、RivianとFordも参画
同社は今週、サンフランシスコ、サクラメント、サンディエゴ、サンノゼ、ウエストミンスターで相次ぎ記念式典を開催。ウエストミンスターでは旗艦拠点「Rechargery Beacon」を開設し、利用者教育を強化する方針だ。また、州内でEV初心者向けの「EVエデュケーション・プログラム」を展開し、開所後には大手販売店や地域EV団体と連携したイベントも開催する。EV初心者が「充電の不安」を解消できる場を整える。IONNAのセス・カトラーCEOは「創業1年足らずで築いた全米規模の勢いを、カリフォルニアで可視化できた」と強調。「ドライバー本位の品質・信頼性こそがIONNAの成長速度の源泉だ」と述べた。
充電器に差すだけで自動認証・決済が完結する「Plug & Charge」は、すでにBMWとGM、ヒョンデ、起亜、メルセデスが対応。さらにホンダ、ステランティス、トヨタも2026年末までに統合予定で、今回新たにRivianとFordが加わった。IONNAの全拠点で両社の車両がシームレスに充電でき、FordのBlueOval充電網とも連携が進む。
同時に、IONNAは年末にもレトロ調デザインを取り入れた限定公式グッズを発売することも合わせて発表した。正式なECストア立ち上げに向けた“先行ドロップ”として、ブランド認知拡大も図りたい考えだ。
IONNAは、BMW、ゼネラルモーターズ(GM)、ホンダ、ヒュンダイ、メルセデス・ベンツ、キア、ステランティス、トヨタの世界自動車大手8社が共同で設立した新興合弁会社。EV充電を「エンドツーエンドの統合型顧客体験」として再定義することを掲げ、最先端技術や小売連携、充実した設備、顧客サービスを組み合わせた全米規模の充電ネットワークを構築する。同社では2030年までに3万カ所超の超高速・高信頼性充電ポイントを整備する計画で、都市部から幹線道路の長距離移動まで、幅広いEV利用シーンをカバーすることをめざしている。(2025年11月20日)