
ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、スポーツカー「コルベット」の派生モデルとして「グランドスポーツ」を復活させ、2027年モデルとして投入する、と発表した。自然吸気V8の刷新と電動化技術を組み合わせ、従来の高性能・高価格帯モデルと量販グレードの“中間領域”を強化する狙いだ。主力の「スティングレイ」との相乗効果により販売の裾野拡大を図る。
今回発表したのは後輪駆動の「グランドスポーツ」と、電動化四輪駆動を採用する「グランドスポーツX」の2モデル。いずれも新開発の6.7リッターV8エンジン「LS6」を搭載し、コルベットの中核パワートレインとして展開する。
グランドスポーツは1960年代にレース用車両として誕生し、歴代モデルでは高性能仕様の技術を取り込みながら、日常使用にも対応する“バランス型”として位置付けられてきた。今回もその思想を踏襲し、ミッドシップ化した現行世代の強みを活かしつつ商品力を再定義した。新型は2026年夏以降、米ケンタッキー州のボウリンググリーン工場で生産を開始する計画で、グローバル調達部品を活用する。
次世代V8で“中核モデル”を刷新
最大の特徴は、新世代スモールブロックV8「LS6」の採用だ。排気量を6.7リッターに拡大し、最高出力535馬力、最大トルク520lb-ft(ボンド・フィート、約705N・m)を発生する。従来比で全回転域にわたり出力・トルクを引き上げ、自然吸気エンジンとしての性能を底上げした。高圧縮比(13.0:1)や大径スロットル、吸気効率を高めたインテーク構造によりレスポンスを向上。さらに高負荷環境に対応する潤滑系や鍛造部品を採用し、耐久性も強化した。
このLS6はスティングレイにも展開され、コルベット全体の性能水準を引き上げる役割を担う。量販グレードから高性能モデルまで一体的に底上げする戦略といえる。
【商品解説】伝統×最新技術で広がる選択肢

「グランドスポーツ」—純粋なFRスポーツの魅力
標準モデルは後輪駆動を採用し、自然吸気V8のダイレクトなフィーリングを前面に打ち出す。マグネティックライドコントロールやツーリングサスペンションを標準装備し、長距離走行とワインディングの双方に対応する“万能型”の性格が強い。
さらにスポーツパッケージでは高性能ブレーキやサマータイヤを採用し、サーキット走行にも対応。カーボンエアロなどを組み合わせることで、従来のグランドスポーツ史上最も高いトラック性能を実現した。「日常で使えるレーシングスピリット」という同モデルの本質を、現代の技術で磨き上げた形だ。
「グランドスポーツX」—電動化で到達した新次元
一方のグランドスポーツXは、V8エンジンに前輪モーターを組み合わせた電動AWD(eAWD)を採用。システム出力は721馬力に達し、コルベットの新たな性能領域を切り開く。
前輪側の瞬時トルク供給により発進加速とコーナー脱出性能を高めつつ、後輪駆動の俊敏性も維持。さらに走行モードとして「エンデュランス」「クオリファイング」「プッシュ・トゥ・パス」などを用意し、用途に応じた出力制御が可能となっている。低速域ではEV走行も可能で、静粛性や取り回しにも配慮。電動化を“性能拡張技術”として活用する点が特徴だ。
コルベットの“量と質”を両立する戦略モデル
今回のグランドスポーツ復活は、単なる派生モデル投入にとどまらない。自然吸気V8の進化と電動AWDの融合により、コルベットの中核ラインを再定義する動きである。高性能モデルの技術を取り込みつつ価格・実用性のバランスを取ることで、販売の中心を担う役割を強化。電動化時代においても「V8スポーツ」の価値を維持しながら、新たな顧客層の取り込みを狙う戦略商品と位置付けられる。(2026年3月28日)