• 2024-12-23

深セン市、民間2社と空飛ぶクルマの推進で覚書締結

中国の深セン市宝安区政府は7月13日、「低空経済」(注)の投資プロモーションイベントを開催した。同大会において、深セン市宝安区政府、ドローンおよび電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーで空飛ぶクルマを手掛ける億航智能控股(広州)(イーハン、本社:広州市)とeVTOLメーカーの上海峰飛航空科技(オートフライ、本社:上海市)は、同市の「低空経済」の発展を促進することで合意し、3者間の協力覚書を締結した。宝安区は深セン市の宝安国際空港の所在区で、同市の主要な航空産業の集積エリアだ。

イーハンは、広州市で設立されたスマート自動操縦航空機とeVTOLの製造企業。2019年12月に米国の証券取引所ナスダックに上場した。オートフライは、2017年に上海市で設立されたeVTOLの製造企業。低空物流と空中交通サービスなどを提供し、中国、米国、ドイツに拠点を置く。

イーハンによると、今回の合意に基づき、都心航空モビリティ(UAM)分野においてUAM応用シーンの開発、UAMシステムの構築、低空飛行航路の開拓などを進める。一方、宝安区政府は、同社の主力製品である空飛ぶクルマ「EH216-S」の現地での製品調達、融資・リース、インフラ整備、運営など全方位的に支援する。これに基づき、同社は宝安区で「EH216-S」の組立センター、研究開発試験センターおよび修理センターを整備し、地元のUAM運営サービスを保障するという。

オートフライは、宝安区政府と共同で都市内・都市間の空中移動の応用シーンを開拓するほか、空中交通業者と共同で広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)の低空飛行の運営航路を開発する。同社は2023年第4四半期に、空飛ぶクルマの深セン~珠海航路の試験飛行を行う予定だ。宝安区に華南マーケティングセンターおよび華南研究開発センターを設立し、華南地域、特に粤港澳大湾区での全方位の販売・アフターサービスおよび技術サポートを提供する。

なお、宝安区政府は同大会で、「宝安区低空経済産業規画」(以下、規画)と「深セン市宝安区低空経済産業イノベーション発展に関する実施プラン(2023-2025年)」を発表した。計画によると、同区は産業エコシステムの最適化、インフラの整備などの面で施策し、全国をリードする低空経済の発展都市の建設を加速させるという。

(注)「低空経済」とは、ドローンなどの有人・無人航空機による1,000メートル未満の低高度飛行活動や、関連分野の統合・発展によってもたらされる総合的な経済を指す。