米国イリノイ州は8日、中国の大手EV用バッテリーメーカーの国軒高科(ゴーションハイテク)の米国子会社ゴーションがマンテノ市に20億ドル(2950億円)を投じEV用のバッテリー工場を建設する、と発表した。10GWhのリチウムイオン電池セルと40GWhの電池パックを2024年から生産する。米国でのEV電池サプライヤーチェーンを強化するとともに、貿易摩擦が過熱する米中の産業協力にも影響しそうだ。
新工場の敷地面積は約150エーカー(約60万平方㍍)で、北米のEVメーカー向けにバッテリーを供給する。2024年から操業を開始し、2600人の新規雇用を見込んでいる。イリノイ州は、ゴーションに対し行う。30年間で2億1300万ドル(314億円)の税制優遇を受け、総額5億3600万ドル(790億円)の優遇支援となる。
イリノイ州のプリツカー知事は「イリノイ州で最大のEVバッテリー製造工場への投資を発表したことで、われわれはさらなる発展を遂げる。世界をリードするバッテリーメーカーであるゴーションを歓迎する」と述べた。ゴーションのリー・チェン社長は「当社のバッテリー技術は北米でのeモビリティ、および中米間の経済と貿易交流の促進に役立つと信じている」と話した。
ゴーションのバッテリー工場の新設発表で、EV関連産業のイリノイ州への立地が加速することへの期待感も高まっている。民主党の間トリック・ジョイス州上院議員は「イリノイ州はEV産業の全国的なリーダーとして台頭しつつある」と指摘し、米国でのEVサプライチェーンの強化にイリノイ州が中核的な存在になるとの見立てを披露した。