起亜自動車は12日、グローバルEV戦略を示す「EVデー」を開催し、新たなBEV3モデルを発表した。2030年までにBEVを年間160万台販売する計画で、世界でのBEV生産拠点を8カ所に増やすとともにコンパクトクラスを軸に商品ラインナップを拡充する。BEV専用販売店も積極的に展開し、韓国以外でも米国と欧州、中国、インドで開設する計画だ。
EVデーでは、「すべての人にEVを」というブランドのビジョンと、BEVモデルのラインアップを大幅に拡大する戦略を発表した。「EV6」と「EV9」に加え、3つの新しい中小型モデルを公表した。ミレニアル世代のファミリー向けのコンパクトSUV「EV5」を発売したほか、2つのコンセプトモデル「EV3」と「EV4」を披露した。
コンパクトSUV「EV5」は、「EV9」で採用したプラットフォーム「E-GMP」を用い、標準で64kWhのバッテリーを搭載(長距離モデルは88kWh)。航続距離は長距離モデルで447マイル(719㎞)とし、中国向けに加えて2025年にも米国で販売するという。起亜コンセプト「EV」3は同社のフラッグシップBEV「EV9」をコンパクト化し、新たな価値観を表現したSUVをめざした。コンセプト「EV4」は、印象的なデザインを特長とするBEVセダン。価格帯を3万5千ドル(524万円)から5万ドル(748万円)とし、「EV9」を含め8万ドル(1200万円)までの市場に焦点をあて取り組む考えを明らかにした。
同社は2026年までに、年間100万台のBEV販売を目標に掲げており、さらに2030年までに年販160万台に増やす方針を示した。このため、商品ラインナップの拡充を急ぐとともに、EVの生産とバッテリー供給を強化するため2025年までにEVの生産拠点を世界で計8カ所に拡大する計画を打ち出した。母国・韓国が中心に、欧州では中・小型EVの生産を、中国では中・大型EVの生産に重点を置く。新興市場向けにはインド生産で応じ、北米ではインフレ抑制法(IRA)に対応した多様なEVモデルを投入する計画だ。
また、BEV普及に向けて新しいEV体験「カスタマージャーニー」を提供する。2024年前半にも、専用の「起亜アプリ」を発表し商品選びから試乗、契約までBEV購入のストレスを低くし顧客接点を最適化する考えだ。同アプリでは、AIチャットボットを搭載し、車両のバッテリー状態を利用して充電ステーションへの最適なルートを提案する「Eルーティング」機能を取り入れるほか、保険商品と連動し保険料の割引も行う。さらに、韓国内の「デジタルシティストア」や「EVアンプラグド・グラウンド」、国外の「シティストア」といった系列店舗に加えBEVモデル専用店舗を欧米や中国、インドに展開する。そこでは、VR(仮想現実)やMR(複合現実)技術を活用した顧客への新たなブランド体験を提供する意向だ。