
ZFライフテックは6日、米ミシガン州ワシントンに最新鋭のテクノロジーセンターを開設したと発表した。衝突安全分野における長年の知見と最先端の試験技術を融合した新施設で、自動車メーカーの安全規制対応や自動運転・次世代インテリア分野の技術革新を支援する。
世界最大級の「スレッドシステム」を導入
新センターは、パッシブセーフティ(受動安全)技術の高度化を目的に既存施設を大規模に改修・拡張したもの。総面積は約1万8千平方メートルに達し、試験・開発・設計・プロトタイプ製作の機能を統合した。旧ロミオ拠点も統合し、北米のR&D体制を一本化した。
ZFライフテックCEOのルドルフ・スターク氏は、「新センターは顧客密着と技術卓越性を象徴する存在。必要とされる場所で最高のソリューションを開発するという当社の姿勢を体現している」と語った。
新施設の中心となるのは、最大2.75メガニュートン(エアバスA380の推進力に匹敵)の力を発揮する最新スレッドシステムだ。サーボ制御によるピッチモーション(前後傾斜)シミュレーション機構を備え、前面衝突時の急制動やオフセット衝突、横転など複雑な実走行状況を再現する。これにより、将来の自動運転車や新インテリア構成に対応した適応型安全システムの現実的な検証が可能になる。
同社北米パッシブセーフティシステム担当上級副社長ネッド・レッカンプ氏は「この投資は当社の革新と顧客志向への明確なコミットメントだ。効率と柔軟性を高め、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)やNCAPの要件にも対応する」と述べた。
実走行に即した安全技術を追求
センターでは、エアバッグやシートベルト、ステアリングなどの耐久・作動試験のほか、温度・湿度・振動・腐食などの環境シミュレーション、素材評価までを包括的に実施。実際の衝突で発生する車体のピッチングや非対称衝撃など複雑な挙動を解析し、より現実的な乗員保護技術の開発をめざす。ZFライフテックは全世界で22カ国・51拠点に展開し、従業員数は3万6,000人超。今回のミシガン拠点の拡充により、北米市場での技術開発力と顧客対応力を一段と強化する構えだ。(2025年10月7日)