• 2025-10-08

アンペール、ラーディにバッテリーセル研究拠点を開設

ルノーグループ傘下の電動車事業会社アンペールは7日、バッテリーセルの試作と評価に特化した新たな研究施設「バッテリーセル・イノベーション・ラボ」を正式に開設した、と発表した。同社では、最先端ラボが電気自動車分野における同社グループの競争力を強化する戦略拠点と位置づけている。

この新ラボは、ルノーグループの研究開発拠点「ラーディ・テクニカルセンター」内に設けられたもので、2階建て、延べ3千平方㍍の建物内に120以上の試験・分析装置と600平方㍍のドライルームを備える。セルのプロトタイピングから電気化学特性の評価までを一貫して行うことで、バッテリーの耐久性・急速充電性能・分解分析などを詳細に検証する。

アンペールのジョセップ・マリア・レカセンスCEOは、「この研究所により、アンペールはルノーグループの先駆者としての使命を果たす。戦略的パートナーを見極め、次世代の技術を的確に選定する力が、電動化競争における決定的な優位性を生む」と述べた。

同ラボは、化学的特性・構造・耐久の多角的評価を通じて、有望な技術やパートナーを早期に特定することを目的とする。アンペールは今後、信頼できる技術パートナーと供給網を構築し、上流のセル開発から下流の車両統合に至るまで、バッテリーバリューチェーン全体の制御をめざす。

ルノーグループCTOのフィリップ・ブリュネ氏は「ラーディを電気自動車分野の真のセンター・オブ・エクセレンスにすることが目標だ。E-Techキャンパスとともに、当社のエンジニアリング力を次の段階へ引き上げる」と述べた。

1951年に設立されたラーディ・テクニカルセンターは、長年にわたりルノー車の内燃機関開発を担ってきたが、今回の新研究所開設をもって完全に電動モビリティへと転換した。これには、①施設の全面再設計、②スキル転換、③高付加価値の新事業創出の三つの柱が据えられている。

また、併設予定の「E-Techキャンパス」は、アンペールおよびルノーグループ社員、さらには他企業の技術者にも開かれた教育拠点として、EV技術に特化した専門人材の育成を担う。アンペールEVエンジニアリングディレクターのニコラ・ラケ氏は「この研究所は当社のバッテリー戦略の核心であり、パフォーマンス評価能力の強化とパートナー協働の深化を通じて、次世代EV設計をリードしていく」と語った。(2025年10月8日)