• 2026-03-05

トヨタとステランティス、テスラ主導のCO₂プール離脱へ 

写真は「フィアット500ハイブリッド」

欧州連合(EU)の自動車CO₂排出規制を巡り、電気自動車(EV)専業の米テスラを中心に形成されてきた「CO₂プール」から、トヨタ自動車とステランティスが2026年に離脱する見通しとなった。独専門メディアが3日報じた。両社はこれまで同プールの主要参加メーカーとしてテスラに対し排出枠の購入費用を支払う立場にあり、今回の離脱はテスラの排出クレジット収入や欧州自動車産業の規制対応戦略に影響を与える可能性がある。

EUでは自動車メーカーごとに販売車両の平均CO₂排出量目標が設定されており、目標を上回った場合には高額な罰金が科される。メーカーは規制対応策として複数社で「CO₂プール」を形成し、EV比率が高い企業の排出削減効果を他社と共有することが認められている。これにより、排出量の多いメーカーは罰金を支払う代わりに、EVメーカーに一定の費用を支払って規制をクリアできる仕組みだ。

テスラを中心とする欧州のCO₂プールには、これまでフォード、マツダ、ホンダ、トヨタ、ステランティスなどが参加していた。だが2026年はトヨタとステランティス(提携先の中国EVメーカー、リープモーター含む)が離脱する見通しで、EU文書ではテスラ、フォード、ホンダ、マツダ、スズキなどが残る構成となる。

トヨタの離脱は、同社が単独で排出目標を達成できる見通しを強めていることが背景とみられる。欧州ではハイブリッド車の販売比率が高く、高排出モデルが少ないことに加え、EVラインアップの拡充も進む。新型EV「アーバンクルーザー」の投入や「bZ4X」の販売拡大により、EV比率の上昇が見込まれている。一方、ステランティスは2025年の排出量が目標をわずかに上回る見通しとされるが、中国の提携先リープモーターとの連携により、独自のプール形成が可能になるとの見方がある。スペイン工場で小型EV「T03」の生産を開始する計画もあり、EV販売の拡大によって規制対応力を高める狙いがある。

ただしCO₂プールの最終確定期限は毎年12月1日であり、両社が2026年中の市場動向を踏まえて再びテスラのプールに参加する可能性も残る。

今回の離脱は、EVメーカーが排出枠販売によって得てきた収益モデルにも影響を与える可能性がある。テスラは近年、排出クレジット収入の重要性が低下していると説明しているが、欧州で主要な資金拠出企業が離脱すれば、その収益構造にも変化が生じる可能性がある。EUの排出規制を巡る自動車メーカーの対応戦略は、EV普及の進展とともに新たな局面に入りつつある。(2026年3月4日)